個人事業(自営業)の経理事務
私は、中小企業診断士として独立する前に、税理士法人にお世話になっていました。確定申告の時期には、個人事業者さんの決算書と確定申告書の作成の業務を行っていました。
今では、京都府内の中小企業の後継者に、財務会計の基礎・資金繰りの大切さ・会計データを経営に活かすことの重要性をお伝えする講義を行っています。
また、経営改善計画では、事業的にも財務的にも苦しい企業の再建策を事業と財務両面から検討しています。
新規事業計画では、現実的な収支計画、投資計画を立案し、創業計画では、売上予測をシビアに予測し、最初の設備投資の借入金がきちんと返済していけて、生活が成り立つ数値計画かを指導しています。
このように、経営者目線で数値を見ることが私の得意分野です。
その経験から、中小企業診断士として独立してからも自力で青色確定申告書の作成を行っています。このコーナーでは、個人事業主が1年間経理処理を行う流れと、その上での勘定科目の解説や、会計ソフトの活用などについてまとめています。
意外と反響が多いコーナーなので、時々内容をバージョンアップさせたいと思います。
※私は税理士ではありませんので、最新の税務情報や、経費の具体的な個人とプライベートの按分の妥当性、税務的な相談は税理士さんか税務署さんにご相談ください。あくまで、経理業務をどのように行うか、経営や資金繰りと数値データの活用について示したものです。
個人事業(自営業)の経理処理
個人事業の経理処理の基本的な流れ
1~12月
●資料準備(①~③)
●会計ソフト入力(④~⑤)
(翌年)1~3月
●決算書作成(⑥)
●確定申告書作成(⑦)
①領収書、レシートを必ずもらい保管する
現金で支払ったものと、銀行振込・クレジットで支払ったものは別にしておくと混乱しなくていいと思います。この時点ではとりあえず、事業のために使ったと思うものはすべて保管しておきましょう。コインパーキングの領収書など、お忘れなく。
②クレジットの明細を用意する
最近は明細が郵送されず、インターネットで確認することも多いですが、その場合はファイル(PDFファイルやCSVファイルというエクセルで見られるファイル)を請求月がわかるようにファイル名をつけてクレジット会社ごとにフォルダを作って保存しておくとすっきりします。フォルダ名:○○カード。ファイル名:○○カード201501
インターネットでダウンロードする場合はダウンロードできる期間が決まっているので注意が必要です。特に確定申告ギリギリになると、ダウンロードできないと、カード会社に電話で依頼すると郵送でタイムラグがあるので要注意です。
③銀行や郵便局で通帳記入を行う
経理処理を行いたい時期までの通帳記入をすませておきます。
①~③までが入力までの下準備となります。
④会計ソフト・エクセル集計表に入力する(記帳)
会計ソフトを必ずしも使わなければならないことはありません。手書きでもエクセルで集計してもOKです。
ただ、あとの集計や業績管理、確定申告が効率良くできるので会計ソフト・エクセル集計表を活用されることをおすすめします。
この時に、お金を支払った、受け取った時に、相手の勘定科目を入力する必要があります(後述)。
・現金を入力する
・預金を入力する
・クレジットについては内容により経費の科目を分けます
※会計ソフトの選び方は後述
⑤残高を合わせる
現金は財布の中に実際にある現金と、預金は通帳残高とそれぞれ入力した結果の残高が合っているかを確認します。ちなみに現金は1日の残高はマイナスということは、物理的にありえません。マイナスであれば、事業主からお金を事業用に入れてプラスにしておきましょう。
以上を1月~12月の1年分すませれば、会計入力(記帳)は完了です。
⑥決算書作成
1年分の収益と費用を確定させます。
この差し引きの利益(所得)から、65万円の青色控除や、社会保険等の控除を差し引いた所得に税率がかけられ、所得税が決まります。
また、住民税や来年度の健康保険料もこれがベースに決まります。
ここで、自宅兼職場の場合は自宅分の費用を費用から減らしたり、購入した設備や建物、車などの今年分の費用を計上する減価償却費の計上や、12月に売上したけど、入金が翌年になる分の収益計上といった調整を行います。
⑦確定申告書作成
年金や健康保険、生命保険といった各種税金の控除を行い、利益から所得と税金の額を確定させます。この部分が毎年バージョンアップが必要になる主な部分です。
例えば、民主党政権になり、扶養控除や配偶者控除がなくなり、代わりに子供手当となると、この控除の部分が変更になります。
個人事業の会計ソフトの選び方
青色申告ソフトならどれでも可
結論は、パソコンソフトで販売されている青色申告ソフトでしたらどれでも良いと思います。販売されている数や宣伝広告の幅が広いところが大手であったり、販売に熱心なメーカーです。基本的に機能はどれも似通っていると思います。友人は「freee」というのを使っています。
価格は購入費用+メンテ料で判断
価格もそれほど大きな差はありません。だいたい1万円前後だと思います。
ここで注意していただきたいのはメンテナンス料です。購入費用と毎年のメンテナンス料の両方を見て価格は判断してください。
確定申告での税金の申告方法は毎年変更します。
よって、各メーカーはそれに対応するために機能の更新(バージョンアップ)を随時行っています。
機能の更新を行うためには保守契約を結ぶ必要があります。
用途別会計ソフト活用パターン
会計ソフトで一気に確定申告まで仕上げてしまいたい方は保守契約を結び、随時バージョンアップされることをおすすめします。
普段の会計ソフトの入力(記帳)は会計ソフトやエクセルで行い、決算書までを完成させ、確定申告は手書きや国税庁の確定申告書作成コーナーで作成する場合は保守契約を結んでバージョンアップをする必要は実質上はないと思います。
バージョンアップされるのは基本的に最後の確定申告の税金計算部分だからです。
日々の記帳と、その集大成である決算書(売上と経費を差し引いて利益を計算する表)までの作成でしたらバージョンアップをしなくても十分可能です。
具体的な青色申告ソフト
参考までに大手の青色申告ソフトを列挙しておきます。各ソフトの評判や感想はインターネットで調べてみられることをおすすめします。私の聞いた範囲では”やよいの青色申告”が評判が良いようです。
ちなみに白色申告の場合でも、記帳から決算書作成までは青色申告ソフトで十分カバーできます。
シェアの高いソフトの方が、税理士さんにお願いする場合もデータの移行等で対応してくれる可能性が高いと思います。
- やよいの青色申告(弥生会計)
- みんなの青色申告(ソリマチ)
主な経費科目と具体例
●給料賃金
社員、パート、アルバイトの給料
※個人事業の場合、事業主自身の報酬は利益であり、給料賃金ではありません。
●減価償却費
お店の設備、建物(購入した場合)、車などで1年分で経費にできる法律で決められた金額。
法定耐用年数といって、一般用の車は6年など、公平に経費を認めるために国が決めた年数で割った金額を経費にできる。
(減価償却費のイメージ)
7月に120万円で車を購入した。
法定耐用年数は6年なので、1年当たり経費にできるのは120万円÷6年で20万円。
さらに実際に使用したのは7~12月の6ヶ月なので、20万円×6ヶ月÷12ヶ月で10万円が今年費用にできる金額。
※実際の計算は、国税庁の確定申告書作成コーナーのソフトなどに必要情報を入力し、計算してもらってください。
(ご参考)法定耐用年数表 ※このリンク先が常に最新の状況である保証はありません。
●貸倒金
買ってもらったのに、得意先の倒産、顧客とコンタクトできなくなるなど、お金を支払ってもらえなかったもの
●地代家賃
賃貸の場合のお店や事務所の家賃、駐車代
●利子割引料
借入金を返済した金額のうち、利息分
※借入返済 = 借入元本 + 支払利息
借入元本は経費ではありません。売上から経費を引いた利益から払わなければなりません。
●租税公課
印紙代、個人事業税など。税金のうち、経費にできるもの。
※所得税・住民税・社会保険料(年金・健康保険)はこの科目には入りません。
※消費税はそもそも消費税を納付する課税事業者かどうかをまず確認しましょう。税込経理方式なら租税公課の必要経費になりますが、税抜経理方式なら仮受消費税から仮払消費税を引いた金額を「未払消費税」で計上します。
個人事業の消費税 免税事業者と課税事業者・消費税の計算方法について
●荷造運賃
運送会社の配達料など、
●旅費交通費
ガソリン代、高速代、電車代、飛行機代、タクシー代など
●通信費
電話代、インターネット代、携帯電話代、切手代、郵送代など
●広告宣伝費
チラシ、ビラ、新聞広告、看板、ホームページ、ネット広告、DM送付料など通信費の中でも広告宣伝費の意味合いが強いものはこちらの方が、費用対効果を見る上で良いように思います。
●接待交際費
取引先との飲み代、取引先への進物・手土産・出産祝いなど。当然ですが、事業上必要なものです。
●損害保険料
店舗の火災保険、営業者の自動車保険など
●修繕費
店舗の修理代、車の修理代など
●消耗品費
割り箸、おしぼり、プリンタインク、筆記具など
※10万円を超えると資産として計上が必要に(減価償却費)
●福利厚生費
従業員の出産祝い、病院見舞い、食事代補助など
●雑費
どの勘定科目にも分別できないもの。この科目の金額はあまり多くない方が良い
仕事とプライベートの按分
個人で事業をしていると、どこまでが経費で、どこまでが経費でないかでよく悩むことと思います。
ポイントは「事業との関連」です。
例えば、自宅件事務所の場合、床面積比で事務所分だけの家賃を経費とする。※住宅ローンは経費にはならない。借家の場合のみ。
ガソリン代・車代の場合、1~2ヶ月運行記録をとり、仕事に何%使用したかを実測して按分。※根拠資料を必ず残しておくこと。
この点に関する書籍を当サイト運営の書評ブログで紹介しておりますので、もしご興味があればご覧下さい。
<按分する経費の例>
・自宅件事務所の家賃
・駐車場代
・通信費(ネット・電話等)
・車両費(ガソリン・車検・修理費・自動車税・高速料金等)
・電気代
・固定資産の減価償却費
<経費に関する参考文献>
『あらゆる領収書は経費で落とせる』
●事業に関連するかどうか
(1)条件さえ満たせば、昼飯代も落とせる
(2)福利厚生費
(3)研修旅行
●本当は強い納税者の権利
個人事業者が賢く確定申告をする方法 『税務署員だけの秘密の節税術』
●経費は仕事とプライベートを按分させる
(1)交際費
(2)やり過ぎてはダメ「社会通念上」という壁
(3)4年落ちの中古車を買えば節税効果が大きい
●青色申告には罠がいっぱい
主な資産・負債科目と具体例
●現金
手元の金庫・財布にある事業用の現金のことです
●普通預金
銀行の普通預金口座のことです。
●売掛金
売上代金のうち、回収できていないものです。クレジットカード売上で翌月入金を待っているものや、末締め翌月○○日入金で、まだ入金されていないものは売掛金として売上を計上しておきます。
売上計上時の仕訳 借方 売掛金 貸方 売上
売上回収時の仕訳 借方 現金 or 普通預金 貸方 売掛金
●固定資産(建物・建物附属設備・機械装置・車両運搬具・工具器具備品など)
1.固定資産はいったん現金・預金で代金を払って購入した時(営業車の場合)
借方 車両運搬具 貸方 現金 or 普通預金
2.固定資産のうち、1年分を減価償却費として費用計上する時(営業車の場合)
借方 減価償却費 貸方 車両運搬具
●買掛金
仕入・外注費等のうち、お金が未払いのものです。売掛金の逆です。
仕入計上時の仕訳 借方 仕入 貸方 買掛金
仕入支払時の仕訳 借方 買掛金 貸方 現金 or 普通預金
●未払金・未払費用
経費のうち、お金が未払いのものです。例えばクレジットカードで買ったけど、まだお金の引き落としがされていないものです。
経費計上時の仕訳 借方 旅費交通費 貸方 未払金
経費支払時の仕訳 借方 未払金 貸方 現金 or 普通預金
●借入金
お金を借りた時に負債として計上され、現金・預金で返済した時に減少します。
お金を借りた時の仕訳 借方 現金 or 普通預金 貸方 借入金
お金を返済した時の仕訳 借方 借入金 貸方 現金 or 普通預金
上記に挙げたのは必要最低限の経理処理
上記は個人事業の基本的な経理処理です。基本的な経理処理とは税金を納めるためだけの経理処理です。
税金を納める税務のためだけに会計データを活用するというのであればこれで十分です。
しかし、この方式には重大な欠点があります。
それは、日々の経営に会計データが活用できないことです。
最も悪いケースをご紹介します。
経理処理は面倒です。特に、経営者自らが行っている場合は普段はどうしても本業に集中して経理処理は後回しになります。
1年分の会計ソフト入力をずっと放っておいて、年が明けて集計をはじめたとしましょう。
この方式ですと実際の営業期間である1月~12月が終わって翌年になって集計してはじめて自分たちが払う税金がわかります。
「こんなに税金を払うんなら、あの投資をしておけば良かった!」
と後悔しても後の祭りです。翌年になってしまうと、その年の経費は調整しようがないからです。
ちなみに10万円以上の固定資産は、決められた法定耐用年数でしかも初年度は月割で減価償却資産となるので、年末ギリギリに購入しても対して費用計上はできません。
中古資産であれば、法定耐用年数が短くなり、多額の減価償却費計上ができる場合があります。
また、青色申告をされていれば、少額減価償却資産といって、30万円未満のものなら、1年で300万円の範囲で全額その年の減価償却費にできるという特例があります。
無駄に支出をしてひたすら節税に励むべしと言っているのではありません。
ただ、思った以上に利益が出ているなら将来の利益につながる投資的な出費は行っていくべきだということです。
飲食店なら古くなった食器を買い換えたり、老朽化が進んでいる設備を刷新したりです。
社員等への還元もとても良いと思います。冬の賞与・寸志を支払う・増額する。レベルアップのための研修・外部講師を招いての勉強会を行う。
休憩所等職場環境の改善を行うなどです。
社員への投資は、良い結果となって経営に返ってきます。
1年間の経営成績の予測を立てる
なので、1月~9月までの実績を10月くらいには把握し、10月から12月は受注状況・景気動向等から昨年度の実績も参考に売上の予測を立てます。
売上の予測が立てば、仕入・売上原価は売上高に対する原価率で計算できます。
それ以外の経費は昨年実績をベースに、イレギュラーになることがわかっている分を加味して今年の実績見込みを作成します。
これにより、最終的な利益(所得)の予測を行い、必要があれば、上記に述べたようなしかるべき投資等を行うことです。
まだ10月~12月の3ヶ月あるので、経費計上が間に合います。
会計データを経営活動に活用することをおすすめします。これが業績向上の近道です。
毎月月初に前月の損益を振り返り、営業会議を行う
売上については前月比、あるいは前年比で今年はどうなのか、その理由はなんなのか、今後どのような対策が必要かを考えます。
原材料費の高騰が利益を圧迫していることも考えられます。
この営業会議を意味あるものにするためには、発生主義による記帳が必要になります。
例えば、6月に売上があって、8月に入金があったとします。
これを現金ベースで計上すると、8月に売上として計上します。
発生主義ですと、6月に”売掛金(売上の未回収分)”/売上という振替伝票を打っておき、8月に預金/売掛金という処理をします。
つまり、売上の計上と、代金の回収を2ステップで記録するということです。
仕訳の話をはじめるとややこしくなるのですが、要は6月に食べてもらった分の売上は6月に計上して、6月に仕入れた材料は6月の経費として経理処理するということです。
こうすることで、会計データが経営の実態と同じものになります。
現金売上は6月に売上、クレジット売上は8月に売上計上してしまうと、6月の売上は6月の現金売上+4月のクレジット売上の合計として集計されてしまい、これだと複数月の売上がごちゃ混ぜになって、営業活動と経理上の売上がぐちゃぐちゃになります。
これでは今月の業績が数値で把握できません。
ちなみに、会議は過去の反省だけを行っても意味がありません。
過去の原因を分析し、その改善策として、今月・誰が・何を・いつまでに実行するのかを決めることが大切です。
そして、翌月はその検証から会議をはじめます。
このサイクルの1年間の回転数と、質が5年後・10年後の経営に大きく差となってあらわれます。
売上高は分類する
飲食店なら曜日別、昼と夜の時間帯別、料理と飲み物等メニュー別、事業によって売上を管理する切り口を決め、分析されることをおすすめすます。
一ヶ月ですべてまとめて売上高○○○万円だけでは、何が売れていて、何が人気がないのかといった改善につなげるヒントが得られないためです。
これを丼勘定といいます。
企業相手の事業でれば、得意先別、製品別、製品カテゴリー別、エリア別といったように自社の売上げ構成を把握しておくことは経営をしていく上で大変重要です。
また、売上と対応する原価を計算し、製品・商品別に利益率と利益額を検証することも有効です。
特に、得意先や商品・サービスによって粗利率が大きく異なる場合は、売上高よりも粗利益で検証することが重要です。
とはいっても個人事業は大変忙しいです。
ご自身の労力を考慮して最適なレベルを模索してみてください。
税理士や中小企業診断士に依頼するのも一つの手段です。
自社の利益の源泉は何なのか、大事なお客様は誰なのかをぜひ把握しておいてください。
資金繰り表を作る
黒字倒産という言葉をご存じですか?
会計上の利益は上がっているのに現預金がなくなって倒産してしまうことです。
これには大きく2つの要素があります。
1つ目は仕入の支払い時期が早く、売上の回収時期が遅い場合です。
5月の仕入れを6月に支払い、売上代金の回収が7月だとしたら6月はお金を支払うだけど、入金はありません。
その分余分に資金を用意しておかないとお金を支払えなくなります。
2つ目は借入の返済です。
借入の返済は元本の返済と、利息の返済の2つから成り立っています。
ここで注意が必要なのは、利息は経費ですが、元本は経費ではないということです。
利益は売上と経費の差し引きで計算されます。
利息はその経費の中に含まれていますが、元本は含まれていません。
つまり、利益から元本を支払う必要があります。
利益がいくら出ていても、その利益以上に借入の元本返済があっては資金がショートしてしまいます。
以上のことをふまえて、会計ソフトの入力に加えて、別途資金繰り表を作成されることをおすすめします。
資金繰り表とは、売上と経費の発生ではなく、お金をいつ支払い、いつ受け取るかを表現したものです。
常に給料や仕入、経費をきちんと支払える支払い能力があることをチェックし、健全な財政運営を心がけてください。
資金繰り表をつくるのが面倒な方は、せめて自店における適正な現預金残高をつかんでください。
そして、それが変動した時に理由をきちんとチェックしてください。
現預金残高の目安としては、売上高の最低1ヶ月分、できれば2~3ヶ月分と言われています。
創業者で何でも自分でしていれば、いずれ感覚的にわかるようになると思いますが、創業間もない時や後継者さんは資金繰りに十分気をつけましょう。
借入金について注意すべきこと
借入金の目安ですが、金融機関さんは「減価償却費+利益」を重視します。
これが本業により1年間で生み出したキャッシュ(現金・預金)の金額のためです。
これを12で割れば、1ヶ月あたりの返済可能額が見えます。
なぜ、減価償却費を足すのかは、減価償却費は固定資産が目減りした分を費用計上しており、減価償却費計上段階でお金の支払いが行われないからです。
固定資産は購入時にお金を支払い済です。
それを毎年、国が定めた法定耐用年数で費用にしていくのが減価償却費です。
なので、利益を計算した時は一度減価償却費も引いているのですが、キャッシュで見た場合、実際には経費だけど、お金が出ていっていない減価償却費を足すということになります。
この「減価償却費+利益」(※法人の場合、利益は税引後利益)で借入の元本返済ができないということは、本業の収益で借入返済できるお金が稼げていないことになります。
つまり、返済してはまた借りてを繰り返し、減らない利息を支払い続けていたり、経営者の財布からその分を捻出していることとなります。
創業計画や事業計画を作成し、融資を金融機関さんに求める時、必ずチェックされるところなので、このポイントはおさえておきましょう。
あと、金融機関は、「困った時に親身になって相談に乗ってくれるか?」という視点が大切です。
地域密着で、地元の事業者の出資金で成り立っている信用金庫や、地方銀行がオススメです。
メガバンクさんのメイン顧客は借入金が何千億や何兆円もある上場している大企業です。
そして世界が舞台です。ネームバリューや利率だけで小規模事業者は金融機関を考えない方が良いかと思います。
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