~末期症状になる前に~
事業再生計画とは?
事業再生は2段階に分類されます。
第1段階 事業と財務の現状調査と再建計画の作成
資金繰りの危機となった企業を抜本的に見直しを行い、当面の危機を回避すべく、現状調査と再建計画の作成を行います。
現状調査は大きく事業の調査と、財務の調査を行います。
事業の調査とは経営環境、業務フロー、業績、危機に至った原因を調べ、今後の方向性を掲示します。(事業デューデリジェンスともいいます。)
財務の調査とは主に貸借対照表を時価評価し、正味の、換金した場合の財産価値と、自己資本(多くの場合は債務超過)の本当の額を算定します。(財務デューデリジェンスともいいます。)
再建計画とは、事業の調査と財務の調査をベースに長期の経営再建計画を行います。
経常利益の黒字化、債務超過の解消、借入金の返済がそれぞれ何年で実現するかが評価のポイントとなります。
目標は金融機関からリスケジュール(借入の返済期間を延ばし、月々の元本返済を軽くすることで資金繰りのショートを回避する。)や場合によっては追加融資を得ることです。
第1段階のゴールは金融機関の支援を得ることであり、あくまで一時しのぎの手法です。
第2段階 経営改革と再建計画の実行
金融機関の支援で当面の資金ショートは免れました。
次は借入の元本返済も含めた月々の現預金がプラスになるよう事業を再構築する必要があります。
通常、金融機関の支援を得られれば、モニタリングといい、計画通りに実績があがっているかのチェックがしばらく続きます。
これからは現状と事業計画の全社員との共有、マネジメントの改革と全員体制での実行と進捗管理のしくみ作りが大切です。
徹底的に業務改革を断行して、二度と再生案件となってしまわないように収益力のある筋肉質経営の実現を目指します。
事業再生の経営責任
事業再生となってしまった場合、経営責任が問われます。
具体的には役員報酬の減額や、社長が会社に貸していたお金(会社からみれば役員の借入金)、受け取っていなかった役員報酬(未払金)を最後まで返済しない固定負債にしたり、会社の資本に組み入れたりする必要がある場合があります。
また、従業員の給料、賞与や人員削減まで踏み入れなければならない場合もあります。
末期症状になる前に
病気の場合、早期発見であればちょっとした生活態度の改善で治ることが多いですが、末期症状でやっと真剣に向き合った時には手遅れとなってしまうことが多くなります。
人間は切羽つまらないとどうしても「まだ大丈夫や」と思ってしまいがちですが、経営も同じで、赤字や借入の積み重ねをしているとある日突然、その累積が命取りとなりかねません。
実は金融機関から事業再生の計画を作るようにと言ってくれるのはまだ救いがある方で、多くの企業は手遅れとなり、倒産となってしまっています。
残念ながらそのような中小企業は少ないですが、経営の健康診断を元気なうちに外部の専門家から現状調査を受けられることをおすすめします。
現在、当方では事業再生の実務経験を活かして、人間ドックならぬ、経営ドックのようなものを考案中です。 |
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