社員が活き活き働く職場の社長の仕事とは?『日本でいちばん大切にしたい会社4』
【こんな方にオススメ】(5段階)
●「社員とその家族」を大事にする経営を学びたい ☆☆☆☆☆
●景気に左右されず、業績を上げ続ける経営を学びたい ☆☆☆☆
●働く現場に”感動”がある会社を創りたい ☆☆☆☆
【感謝】
読者のみなさまへ
いつもありがとうございます。
もう2月ですね。
相変わらず何かに追われています(笑)
もう少し落ち着いて仕事ができるようになればいいなと思います。
まわりのせいではなく、自分が何を変えないといけないかですね。
【今回のテーマ】
社員満足第一経営
【今回の一冊】
◆タイトル:『日本でいちばん大切にしたい会社4』
◆著者:坂本 光司
◆出版社:あさ出版
◆ページ数:227
【レビュー】
●顧客第一主義経営も、今や時代遅れの経営学
私は、株主第一主義経営はもちろんのこと、顧客第一主義経営も、今や時代遅れの経営学だと思います。
いかに顧客を喜ばせるためとはいえ、サービス残業や長時間労働を求めるのはもってのほかだからです。
社員とその家族の幸せづくりに経営者が力を注がなければならない理由は2つ。1つは、景気にぶれない企業の変わらない特長がそこにあるからです。
「社員第一経営を実践しているが、業績が思うように上がらない」
という企業は、「社員第一主義」と思いこんでいるだけです。
現場の職場の空気や社員の顔つき目つきを見れば、社員満足度が高い企業か低い企業か、すぐにわかります。
2つ目は、私たちの日常の仕事への取り組み姿勢を考えれば、簡単にわかることです。
常日頃、自分が所属している組織や上司に不平や不満、不信感をもっている人々が、組織や上司の業績を高めてあげたいと思うわけがないからです。
組織や上司に感謝の念、尊敬の念をもって仕事に取り組んでいる社員は、心が満たされているから、顧客満足度を高めることによって日頃の恩返しをしようと考えるのです。
日本でいちばん大切にしたい会社は、
1から4まですべて読んでいます。もはや”購読”といっていいでしょう。
毎回、涙涙のエピソードがありますが、今回も心を打たれるお話がたくさんありました。
何のために仕事をしているのか、初心を思い起こさせてくれる一冊です。
(1)日本一の規模ではなく、日本一の幸せをめざす【坂東太郎】
店舗数が5店舗に増え、さらに拡大している矢先。
中核になって働いてくれていた従業員が次々と辞めていきます。
より条件のいい職場、給料の高い会社に転職していくのです。
店舗の掃除や翌日の仕込みは青谷さん(社長)と奥さんで夜を徹して店舗を回りました。出口が見えない重労働に二人とも心が折れそうになっていたのです。
そんな時、母親の墓石で声が聞こえました。
「洋治、おまえのところでは働いている人が幸せになれないから、会社を辞めていくんだよ。みんなを幸せにしておやり・・・」
青谷さんはすぐに行動しました。
店舗をすべて休業し、全従業員を一堂に集めて、
「みんなの話を聞かせてほしい」
と頭を下げたのです。すると、次々と不満が飛び出しました。
従業員たちはこういう思いで働いているのだ、と初めて青谷さんは現場の思いを知ったのです。店を100店舗つくる。売上を100億円にする。
日本一の規模の会社にする。それが青谷さんの目標でした。
でも現場で働く人たちは、そんなことを望んでいませんでした。
青谷さんはそれを知ったとき、自分の目標を改めました。
ここで働く人、ここにお客さまとして来た人、納品をしてくれる業者さん、みんなが幸せを感じるような会社をつくろう、規模の日本一ではなく、「幸せ日本一」の会社をつくろうと目標を転換したのでした。
この集会は「社長塾」と名前を変え、現在も年3回、すべての社員、パート、アルバイト従業員が自由に参加して行われています。
さらに今では、年初を全店舗を休みにして、2000名近い社員、パート、アルバイト全員が一堂に会し、経営参画を確認する「決起集会」も開かれています。
(2)社長の仕事とは?【東海バネ工業】
お客さまがいなければ商売が始まりませんが、そのお客さまを喜ばせ、感動させるのは誰かといえば、社員であり、その社員を支える家族です。
東海バネ工業の渡辺さんは、
「社長の仕事とは、社員の満足度を高め、いかにモチベーションを上げるかにある」
とまで言い切っています。
「それ以外に社長の仕事はありません。そう言うと、同業他社の人たちは、さぞかし社員に高い給料をあげて、休みもたっぷり与えているんでしょうね、と言います。そういう質問をされると私は必ず聞くんです。『えっ?従業員満足というのは、お金なんですか?』と」
人は、お金や休みさえ与えておけば満足するわけではありません。
では何が必要か?
それは、自分が属している会社に誇りがもてること。
そして自分が生み出す製品やサービス、仕事を通じて確実に成長しているという喜びが感じられることです。
社員たちには自己啓発の助成金として、20代なら2万円、30代なら3万円が毎年支給されます。
毎月4月に、全社員に対して行われる教育面談では、自分がどのように成長していきたいかスキルマップをつくり、役員に対して自己開発計画をプレゼンすることになっています。だから若い社員がどんどん育ちます。
「背中を押してやりさえすれば、どんな人間でも成長する。この世に使い物にならない人間はいないんです。」
という渡辺さんの人に対する絶対的な信頼が、そこにかいま見えます。
「ここがダメだから他へ行くという奴は、どこに行っても使い物になりまへん。よそに行っても絶対大丈夫、というレベルまで達したらやめさせたるからな、と言って、とことん説得しますわ。」
(3)社内結婚の多さがいい会社の条件【協和】
私は、いい会社の条件をいろいろ定めていますが、そのうちの1つに社内結婚が多いことと、
社員の子供の数が多いことをあげています。
ギスギスした雰囲気の会社では、社内結婚は生まれようもありません。
「この人と一緒にいて、幸せになれるかどうか」
は、そばでともに働く社員自身がいちばんよくわかります。
「この人と一緒に、この会社にずっといれば幸せでいられる」
と思うから、社内結婚ができるのです。
会社が楽しくて、ここにずっと勤めようと思うから、腰を落ちつけて、子どももたくさん生めるのです。
協和は育児休業後の復帰率が100%です。
「毎日が遠足のように楽しい」と私に話してくれた社員がいましたが、それくらい協和には、和気あいあいの温かい経営が貫かれています。
自分の子どもがかわいかったら、子どもが継ぎたくなるような会社にするのが経営者の務めです。
社員がかわいかったら、社員がいたくなるような会社にするのが経営者の役目です。
●視察旅行が運命の転換点に【東海バネ工業】
渡辺社長がフランスの製缶工場を視察しました。
いわゆる典型的な3K職場です。
しかしそんな環境にもかかわらず、若いフランス人の女性たちがたくさん働いています。
「なぜこんな職場に若い女性が来るんですか?」
と質問すると、
「それは給料が高いからです。人がやりたがらない仕事だから、給料が高いんですよ。」
目からうろこが落ちました。
今まで渡辺さんは、大学卒がやるデスクワークこそが、頭も使うし、高級な仕事だと思いこんできました。
だから給料が高くても当たり前だと思っていたのです。
一方、現場の仕事は、学歴が低くてもできるのだから、給料が安くてもいいのだと思っていました。
でもよく考えれば、人が嫌がる仕事を汗水たらして一生懸命やることを、なぜ正当に評価してやらないのでしょうか。
それに見合う報酬を与えるのが当然でしょう。
しかも自分たちは手作りバネ屋です。
そのバネ屋が、バネをつくる現場の人間を
見下げているのは、まったくもっておかしいことです。
「新しい、儲かるバネ屋をつくるのだ。」
未来への希望で旨がはちきれそうになりながら、渡辺さんは帰国の途についたのです。
渡辺さんが30歳のときでした。
今回もとても内容の濃い5社でした。
実際に工場見学をさせていただいた東海バネ工業さんが紹介されているのがとても嬉しかったです。
本に挟んであったセミナーDVDも注文しました。
何度も何度も社員第一経営をインプットして、自然と実践・アドバイスできるようになりたいと思います。
【目次】
プロローグ 会社にとって「いちばん大切なこと」
大切にしたい会社1
衰退するせんべい業界でトップを独走する「ぬくもり経営」の会社
株式会社 小松製菓(岩手県二戸市)
大切にしたい会社2
「幸せ日本一」をめざして四世代から愛される、笑顔いっぱいのレストラン
株式会社 坂東太郎(茨城県古河市)
大切にしたい会社3
限りない優しさがあるからみんなが嬉々として働くランドセルメーカー
株式会社 協和(東京都千代田区)
大切にしたい会社4
たった1個の注文にも応える町工場魂が日本のモノづくりを支える
東海バネ工業 株式会社(大阪府大阪市)
大切にしたい会社5
逆に健常者が差別される!?障がい者雇用率102.6%の奇跡の株式会社
株式会社 障がい者つくし更正会(福岡県大野城市)
【今回の一冊】
◆タイトル:『日本でいちばん大切にしたい会社4』
◆著者:坂本 光司
◆出版社:あさ出版
◆ページ数:227
【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆
【他のブロガーさんの本書レビューを読む】
小江戸川越 小林税理士事務所ブログ
『日本でいちばん大切にしたい会社 4』 ランドセル
【編集後記】
数多くの会社を訪問させていただいている中で、
社員満足度の高い会社か、低い会社かは
なんとなくわかるようになってきた気がするこの頃です。
【目指せ200冊レビュー!】
今回で146冊目です。
この記事へのコメントはありません。