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【書籍紹介】社員を大切にする経営

『ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる』

社員を大切にする経営

【こんな方にオススメ】(5段階)
●社員を幸せにし、やる気を高めたい ☆☆☆☆☆
●管理に手間がかかっているがこれでいいのか ☆☆☆☆
●差別化を深めたい ☆☆☆☆
●会社の生産性を高め、残業を減らし、休日を増やしたい ☆☆☆☆

 

【感謝】
読者のみなさまへ
いつもありがとうございます。
中小企業は人事や評価の仕組みが未整備の企業も多くあります。
これからそういったことをお考えの企業にはぜひとも一度読んで、よく考えていただきたいです。

【今回のテーマ】
社員が幸せな会社の仕事術

【今回の一冊】
◆タイトル:『ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる』
◆著者:未来工業 山田 昭男
◆出版社:東洋経済新報社
◆ページ数:204
◆2012.8.23 初版

【レビュー】

●仕事におわれ人生を棒に振ってほしくない

未来工業は午前8時半始業で、午後4時45分退社。
1時間の昼休みを除けば、就業時間は毎日きっかり7時間15分だ。残業は原則禁止。
残業禁止の理由だが、残業手当は基本給の25%割り増しにもなるから、できるかぎり払いたくない。
定時に帰ることを奨励するようになったのは、それだけではなく、ほかの会社みたいに仕事に始終おわれ、一度きりの人生を棒に振るような人間になってほしくないからだ。
労働時間が短いことは決していいことばかりではない。

7時間15分しかないのだから、毎日かなり効率的に働く必要がある。でないと、通常の仕事を到底こなし切れない。
だらだらと残業して仕事を片付けることが許されない。
日々の業務スケジュールを綿密に組み、それ以外でもあれこれと創意工夫しないと、やり残した仕事ばかりがどんどん積み上がってしまう。
社員によっては、むしろ辛いばかりで大変なことになるはずだ。
1日の勤務時間が7時間15分しかないということは、社員たちの残業代をケチりながら、仕事の効率も同時にグーンと高められるというわけだ。

今、書きながら自分の仕事ももっと効率的にダンドリ良くしないといけないなと反省しました。
未来工業さんを知ったのは『日本でいちばん大切にしたい会社2』を読んだ時でした。
未来工業は平成26年3月20日現在で連結従業員が1,136名で名古屋証券取引所市場第二部に上場している企業です。
社員を大切にし、幸せにしている会社はややもすると小規模だから家族的な経営ができると言われていますが、これだけの規模でもしっかりと実践されており、
第1回「日本で一番大切にしたい会社」大賞を受賞されております。
どうしても

・年間休日140日+有給休暇40日
・営業ノルマと残業の禁止
・定年70歳、育児休職3年
・社員が全員正社員
・総額1億5000万円の会社負担の海外社員旅行

という働く人の待遇に目がいってしまいがちですが、これを実現した上でしかも儲かり続けることは決して簡単なことではありません。
山田氏はよく、
「それは、山田さんだからできるんですよ」
「未来工業にしかできっこありませんよ」
とまわりの人から指摘されるそうですが、山田氏は「それは思い込みにすぎない」と言われ、また、そう言わしている時点で勝ちだと言われます。
「自社は違う。そんな風にはとてもできない。」
まず、そんな思い込みから変えてみませんか?

(1)お客さんを感動させるには、まず社員から

「敵をあざむくにはまず味方から」
これをマネしていえば、未来工業では、
「お客さんを感動させるには、まず社員から」
になる。仕事を通じて感動したことがない社員に、お客さんを感動させることなんて、できっこないからだ。
たとえば、未来工業では出張時の宿泊費は、事前に渡し切り方式にしている。
宿泊費は1人1万円だから、それより安いビジネスホテルに泊まって差額を浮かせても、逆に自腹で5,000円出して1.5万円のワンランク上のホテルに泊まっても構わない。
5000円分のサービスの違いを体験することは、営業マンには新たな知識と想像力をもたらしてくれるかもしれない。

(2)社員が全員正社員の理由

他社の場合、一般的にパートや契約・派遣社員たちの仕事も、正社員と大差ないようだ。それで給料が正社員の半分で、ボーナスは微少、退職金はゼロ。普通の知能をもった人間なら、そんな待遇で
「会社のためにがんばろう」
と考えるだろうか。職場で
「常に考える」
姿勢だってもちようがない。そういう社員の存在は、大なり小なり、正社員にも悪い影響を及ぼす。
水が高いところから低いところに流れるように、人間の集まる職場は、前向きの感情より後ろ向きの感情こそ広まりやすい。
当然、社員の士気は上がらず、生産性だって下がるだろう。
月給30万円の正社員を月給15万円の契約社員に取り換えると、たしかに人件費は2分の1で済む。
しかし、その程度の「算数」しかできない人間に、経営やマネジメントなどできるはずがない。
「人件費、人件費」
と口ぐせのようにいう会社は、働く人間をモノとしか見ておらず、働く人間の気持ちを完全に見損なっている。

 

(3)営業ノルマなし

未来工業には営業ノルマはない。
ホウレンソウもないし、毎月1週間ズル休みしても同じ給料を支払う会社だから、営業成績が良くても悪くても、給料が変わることはない。
これも、
「社員のみんなを信頼しているよ」
という私からのメッセージ。
「それなら、もらっている給料の分ぐらいは、
がんばらないといけないな。」

これが真面目な日本人の「義務」という考え方。
目標は社員一人ひとりが考えるべきものだ。
会社が社員に目標を与えるのは子ども扱いしているのと同じである。
ノルマ主義になると、真面目な日本人は「常に考える」ことより、ノルマをこなすことの優先順位の方がグ~ンと高くなる。
ノルマが前提で人間が考えつくことなど、たかが知れている。
「ノルマをクリアしないと、給料を下げるぞ」
というスタンスで接すると、
「オレは別に給料が安くなってもいいから、ノルマなんて気にしない働き方を選ぶ」
という態度だってありうる。
アメリカ人相手ならこれでもいいかもしれないが、未来工業は日本人の会社だから、やはり「義務」の考え方を刺激するほうが、人はより働いてくれるはずだ。

 

●日本人は年功序列が一番合う

人を公平に評価するなどできっこない。
だから成果主義は、職場に必ずマイナスな感情を生み出す。
マイナス効果の代償は数値化できないが、高くつくにちがいない。
未来工業はずっと年功序列の終身雇用制度。
成績でどれほど上司を上回ったとしても、社歴の浅い人間の給料が少ないのは、仕方がない。
70歳定年制だから、60歳を過ぎても給料は減らない。
人件費を下げると、たしかに数字上では大きなコスト削減になるだろうが、働く人の感情をどれだけ傷つけるかは、数字にできない。
「不景気な世の中、『アメとムチ』をうまく使い分けないと、業績は上がらないよ」
と訳知り顔で言う人もいるだろう。
しかし悪いが、ウチの会社は創業以来46年間、赤字になったことはない。
それに「アメとムチ」の会社がいったいどれだけ儲けているんだろうか?
「アメ・アメ・アメ」主義の私としては、大いに理解に苦しむ。
「どれだけがんばっても、反対に、どれだけ働かなくても給料は同じなら、社員はやる気が起きないはずだ」
と批判する人が必ずいるが、アメリカ人はそうかもしれないが、日本人は必ずしもそうではない。生活も収入も安定のほうが好きな日本人は、がんばっただけ収入が上がる分、成果が残せなければ、収入がどんどん減ってしまう評価制度は歓迎されない。
そもそも、年功序列の終身雇用が原因で倒産した会社が、いったい、どれだけあるのだろうか?

私も、社会人なりたての頃は、世の中の風潮に流されており、成果主義的なしくみの方が良いのではないかと考えていました。
しかし、独立して、ある意味完全成果主義の身になって初めて、安定した収入があることがどれだけありがたいかを痛感しました。
評価や人事制度の相談もいただくのですが、調べると、どうも成果主義の本家であるアメリカも必ずしもそれがうまくいっておらず、業界平均やや上の固定的な給料が最も良いいう研究結果も出つつあります。
山田氏のように、もっと深いレベルで日本人を理解し、社員を感動させ、やる気にさせる仕組みづくりを支援できるようになりたいと思います。
お金ではなく、経営者の志・夢・ビジョンに共感した社員が多い組織が最も強いのではないかと思います。

【目次】
はじめに
第1章 限られた時間で最大の効果を上げるコツ
第2章 上司ががんばりすぎるから部下が育たない
第3章 お客さんを感動させられるから仕事は面白い
第4章 管理しないほうが人は働く
上司の仕事は、部下の不満をできるだけ消すこと
第5章 差別化は「人マネ+アルファ」で誰でもできる
第6章 管理するコストはバカにならない
おわりに

【今回の一冊】
◆タイトル:『ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる』
◆著者:未来工業 山田 昭男
◆出版社:東洋経済新報社
◆ページ数:204
◆2012.8.23 初版

【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆

【関連書籍のレビュー】
『日本でいちばん大切にしたい会社2』
●コンセプト
(1)社員を管理するルールがほとんどなく、採用は先着順
(2)残業をすると罰金をとられる日本でいちばん休みの多い会社
(3)日本でいちばん長くて楽しい朝礼
●従業員満足が顧客感動につながり、持続的な発展を実現

【編集後記】
企業の発展のためにはマーケティングとマネジメントの両輪が欠かせません。
今回ご紹介しませんでしたが、本書にある未来工業の「差別化」の考え方も大変勉強になりました。
山田氏の他の著作もまた読んでみたいと思います。

【目指せ200冊レビュー!】
今回で171冊目です。

ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる

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