中小企業採用の秘訣『会社の目的は利益じゃない』
【こんな方にオススメ】(5段階)
●社員のやりがいを引き出したい ☆☆☆☆☆
●社員の採用に困っている ☆☆☆☆
●社員の離職率に困っている ☆☆☆☆
●飛び込み営業を考え直したい ☆☆☆☆
【感謝】
読者のみなさまへ
いつもありがとうございます。
10月はもうこちらは寒いです。
そろそろコタツです。
読書の秋、変わらず読み続けています。
【今回のテーマ】
全社員を人生の勝利者に
【今回の一冊】
◆タイトル:『会社の目的は利益じゃない』
◆著者:ネッツトヨタ南国株式会社 相談役 横田英穀
◆出版社:あさ出版
◆ページ数:223
【レビュー】
●結果ではなく、プロセスこそ評価に値する
多くの企業が、結果ばかりを求めます。
結果ばかり評価すると、社員は当然、結果のみを求める働き方をし始めます。
つまり、プロセスである顧客満足などはあまり意識しなくなってしまうのです。
ところがお客様の満足は、自分たちのやりがいである社員満足につながっています。
お客様が満足してくださり、感謝と信頼の言葉をかけてくださる。その言葉が社員たちの満足に
なるのです。
私たちは、車のよさ、アフターフォローのよさ、自分の人間性などを、時間をかけて相手に少しずつ
感じていただき、信頼関係をつくることを大切にしています。
仕事というものは、順序だててやっていかないと、なかなか結果にたどりつきません。
大切なのは、プロセスです。
本書は、オールトヨタお客様満足度12年連続No.1の高知県にあるトヨタのカーディーラーの横田相談役が書かれました。
「日本でいちばん大切にしたい会社2」や、講演のビデオを拝見したことで知っており、単行本を発見して迷わず購入しました。
とてもわかりやすく、しかも奥深い内容で社員のやりがいを実現する経営の考え方や具体的な例、エピソードが語られています。
おすすめポイントを抜粋できないくらい、勉強になること満載でした。
(1)目標より、目的が大事
一人の若者がいるとします。
お母さんに経済的に楽をしてもらうためには、安定した、高い収入を得る立場にならなければいけない。
そのためにはいい学校に行って、大きい会社に入って、いい給料を稼いでと考えました。
このケースでいえば、目的は「親孝行する」ことであって、高い収入を得ることも、いい学校に入ることも、まして大きい会社に入ることも、目標にすぎません。
「お母さんに楽をしてもらう」方法は、腕のいい料理人、専門的なスキルを身につけるなどいろいろあります。
目標を達成するための方法論が目標であって、その形は一つではないのです。
同じように、会社の目的は、売上や利益ではありません。
売上や利益は目標です。
会社の目的は、「社員を幸福にする」などのように、そうなりたい、そうありたいと思う姿なのです。
目的は長期のもので、見えにくく、利他の志向性をもち、考える力とつながるものです。
目標は短期のもので、見ることができ、利己の要素が強く、知識やスキルとつながるものです。目的=志、夢、使命感、心、思いなど。質。(経営理念)
目標=具体的な取り組み事項、数値、モノなど。量。
(2)「魅力ある店」は景気に左右されない
「車をたくさん売りたい」というディーラーの常とう手段は、多店舗展開です。
なぜ複数の店舗をつくる必要があるのかといえば、遠方のお客様が来店してくれないからです。
なぜ遠方のお客様が来てくれないのか?
理由は簡単で、店に魅力がないからです。
ほかのディーラーとたいした違いがなく、お客様に「行きたい」と思わせるものがないのです。
魅力ある店づくりは、そう簡単にはできません。
まして、同時に複数の魅力的な店をつくることは、資金や人材に限りのある中小企業にはたいへんに
むずかしいことです。
つまり、安易に多店舗展開に走ると、店の魅力を生み出せなくなってしまうのです。
魅力のない店をいくら出店したところで、遠方どころか、近くのお客様も来店してくれなくなってしまうことでしょう。
思うのですが、中小企業は一つの拠点に力を注ぎ、他に類を見ない卓越したサービスを提供することに徹したほうがよいのではないでしょうか。そうそうれば、たとえ一店舗でも、複数の店を合わせたくらいの成果を得られるでしょう。
(3)待遇が悪いから、いい社員を採用できる
「休みが多くて、給料が高い会社で楽をしたい」
「まわりから『あの会社に勤めてるんですか、すごいですね』と言われたい」
そのような理由で会社に入っても、やりがいを得られるとは限らないのです。
給料や優越感は、やりがいとはあまり関係がないからです。
ここを勘違いしてしまうと、学生にとっても、会社にとっても残念な結果になってしまいます。
不人気業種というのは、採用には有利です。
待遇や給料ではなく、仕事そのものに魅力を感じた人が来てくれるからです。
中小企業は「当社はやりがいのある会社だよ」ということを見せなければいけません。
たとえば、プロジェクトチームの活動などで、社員が笑いながら楽しくミーティングをしているような、いきいきとした姿を見てもらうのです。
待遇よりもやりがいを求める人たちが集まれば、チームワークがよくなるうえに、一生懸命に働きますから仕事のムダがなくなって、生産性も上がります。
生産性が上がれば新たな余力が生まれ、プロジェクトチームの活動もますます活発になっていくのです。
そして、最終的には待遇のいい会社になることができます。
●社員に「自分の問題」であることに気づいてもらう
経営者にとって、社員が何をどのように考えているかを知るのは、たいへん重要なことです。
これは「社員満足度の高い会社」を実現するうえでは欠かせません。
そのためにとても役立ったのが、無記名の社員のアンケートです。
80年代の半ばには、社員に対してよく
「トヨタビスタ高地をどんな会社に育てたいか」
という趣旨のアンケートを取りました。
アンケートの回数を重ねるごとに本音がでてくるようになりました。誰が言ったか詮索されない安心感があると、人は言いたいことが言えるようになります。
社員たちの本音を、分類してみました。
すると、「マズローの欲求五段階説」にぴったり当てはまったのです。「生理的欲求」
・休みがとれている。
・働きに対して給料がいい。
・無理な残業がない。「安全の欲求」
・清潔で快適な職場である。
・仕事を通じてのケガや病気の心配がない。
・永続性があり安定した会社である。「親和の欲求」
・コミュニケーションがよい。
・チームワークがよく、助け合う職場である。
・人から勤め先を聞かれたとき、誇りをもって答えられる。「自我の欲求」
・お客様から感謝されている。
・重要な仕事を任されている。
・結果を明確に評価される。「自己実現の欲求」
・経営に参画できる。
・自分の仕事において、自主性が尊重される。
・自分の仕事を通じて、自分の成長を感じる。私はこの結果をまとめたチャートを壁に張り出し社員全員に報告しました。
すると、みんなあることに気がついたのです。
生理的欲求や安全の欲求は、経営者に対して要求する内容です。
しかし、それより高次の多くは、自分たちの努力で解決できたり、改善できたりする事柄だったのです。
この点が自覚され始めてから、私に対し「給料を上げてほしい」「休みを増やしてほしい」
と言う社員はだんだんいなくなりました。
読んでいて、横田相談役は悟りの境地までいかれているような思いになりました。経営を何十年も時間をかけてじっくりと熟成させ、ここまでの完成度に至られたことに心から敬意を表します。
ブログでは概念的なことをご紹介しましたが、採用活動に大変な時間をかけられていることなど、具体的に勉強になることも多々あります。
社員が定着し、活き活きと育ち、それが顧客の満足・感動につながる。そんな経営を目指されている方にはぜひ読んでいただきたいです。
【目次】
はじめに
第1章 「理念」の考え方
第2章 「人を育てる」ことの考え方
第3章 「サービス」の考え方
【今回の一冊】
◆タイトル:『会社の目的は利益じゃない』
◆著者:ネッツトヨタ南国株式会社 相談役 横田英穀
◆出版社:あさ出版
◆ページ数:223
【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆☆
【関連書籍のレビュー】
『日本でいちばん大切にしたい会社2』
→ネッツトヨタ南国株式会社も紹介されています。
リストラなしの「年輪経営」
→社員が「前より幸せになった」と実感できることが成長
『ひとり光るみんな光る~バグジー流感動経営~』
→美容室で、社員が光る経営を実践されています。
【関連リンク】
ネッツトヨタ南国株式会社
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【編集後記】
こんなディーラー・自動車整備屋さんが近くにあったらいいなと常々思っています。
車に限らず、すべてこのような会社だったら顧客としてもどれだけ行くのが楽しみになることでしょうか。
【目指せ200冊レビュー!】
今回で138冊目です
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