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【書籍紹介】飲食店経営

『できるやんか!』~お好み焼き「千房」社長の涙と感動の物語~

お好み焼き「千房」社長の涙と感動の物語

【感謝】
読者のみなさまへ
いつもありがとうございます。
あっという間に師走ですね。
気温もだんだん下がり、今朝の最低気温はこちらも1度でした。
みなさまは年賀状は書かれましたか?
のんびりしていたら追い込みモードになって参りました(笑)

 

【今回のテーマ】
起業・経営者・マネジメント

 

【今回の一冊】
◆タイトル:できるやんか!
◆サブタイトル:「人間って欠けているから伸びるんや」
◆著者:中井 政嗣
◆出版社:潮出版社
◆ページ数:277

 

【こんな方にオススメ】(5段階)
●工場排水処理コストでお困りの方 ☆☆☆☆☆
●微生物のすごさを知りたい ☆☆☆☆
●水に関する環境ビジネスに興味がある方 ☆☆☆☆
●研究者から起業を目指している ☆☆☆

【レビュー】

●マネジメントで大切なことも教えてくれる涙と感動の物語

私は、正社員とアルバイトの人たちに差別や区別をつけない。

一人の人間の背後には、何千人もの人がいる。アルバイトの人たちにも、親がいて家族がいて友人がいる。

一人の人に対してしていることは、じつは大勢の人に対してしていることと同じなのである。

人は、こちらが信じてあげれば必ず応えてくれるものだ。

よく、こうしなさい、ああしなさい、そうすればこうなります。

というリーダーがいる。これは理性あるリーダーである。

それに対して、感性あるリーダーは、要はこうしたいのだ。

そのためにはどうしたらいいと思うか、といういい方をする。

そのほうが各人の個性が生かせるのはいうまでもない。

いま「千房」に来ていただいているお客様は年間300万人。

もちろんレシピや従業員の身だしなみの手引きはある。

しかし、もし接客マニュアルを作って、画一的なサービスを提供していたら、これほど多くのお客様に愛されるようにはならなかっただろう。

本書は、大阪の有名お好み焼き屋である「千房」の創業者、中井政嗣氏の自伝であり、その中で得られたマネジメントの秘訣、人生で大切な教訓がふんだんに盛り込まれています。

電車の中で読んでいても、目頭が熱くなり、泣きそうになることも何度かありました。感性を刺激してくれるすばらしい本です。

非行少年や中卒、高卒の人をいかに立派な社会人に育て上げるか。

人財育成においてもたくさんのことを教えてもらえます。

 

(1)組織はすべて中心者で決まる

 

組織はすべて中心者で決まる。中心者が本気になり、自分をしててかかったとき、みなの心が一つになり、それまででは考えられなかった大きな「力」がで出るものなのだ。

リーダーは、まず「誠実」でなければならない。

リーダーが部下の前で上司の悪口をいえば、部下も間違いなく同じことをする。

そういう人間は私は信用しないことにしている。

次に部下を「公平」に見られることである。

「平等」と「公平」は違う。

「平等」というのは一律で、一等賞も三等賞もない。

それに対して「公平」には競争原理が働く。

一等賞から三等賞まできちんと評価する。

みなに平等にチャンスを与え、公平に評価できなければリーダーたりえない。

そして、部下から親しまれ、感謝され、畏れられているかどうかである。親しまれるのと畏れられるのは、相反するようでそうではない。

馴れ合いではなく、親しまれながらきちんとけじめをつける。

それができてこそ畏れられるのである。

そうでなければ、みなの心を一つにし、全体の士気を高めることはできない。

(2)身内でも、相手に夢と希望を与える「励まし」を

 

人間である以上、息を抜きたくなるとき、怠けたくなるとき、体調が悪いときもある。

でも、近所の人や市場のおっちゃんやおばちゃんんが盛んに、

「マスター、あんた、若いのにえらいなぁ。働きもんやな」

といってくれる。

そういわれると、その気になり、その言葉を裏切ってはいけないという気持ちにさえなる。

私を支えてくれたのは、そういう地域の人たちの「励まし」だった。

人間、周りが

「あの人はええ人や、ええ人や」

といい続ければ、必ずいい人になっていく。

「あいつ、あかんやつや」

とばかりいっていたら、本当に「あかんやつ」になる。

「身内だから本音で」

とよくいうが、たとえそれが本当のことであっても、自信をなくすようなことをいったのでは相手を気づかっていることにはならない。

身内だと思えばこそ、近しい人だからこそ、相手に夢と希望を与える「励まし」が必要だということを、私は従業員の姿を通して学んだのである。

励ますといっても、

見ていてあげるから、がんばれ」

というのと、ただ

「がんばれ」

というのでは、いわれたほうの受け取り方が全く違う。

「見ていてあげる」というのは「目をかけている」ということであり、その一言があればこそ、後輩や部下はのびのびと育つのだ。

「見つめる」「うなずく」「ほほえむ」「ほめる」

こちらにこの四つがあれば、どんな人でも心を開いてくれる。

反対に、口でいくらほめ、いいことをいっても、相手を見つめず、うなずきもせず、ほほえまず、ほめなければ、相手の心に響かない。

「テクニック(建前)」であっても、それを続ければ「本音」となるのだ。

 

(3)商店街や市場は「販売」ではなく「商い」

 

スーパーやコンビニがやっているのは「販売」であり、私たち商店街や市場がやっているのは「商い」である。

「販売」で問われるのは品数と品質と価格で、人間的なふれ合いはいわばどうでもいい。

店員が一言も口をきかなくても、客としては不自由だとも思わない。

地域密着型の商店街や市場はそうではない。

極端にいうと、魚屋さんであれば、お客さんから

「サバちょうだい」

といわれても、

「奥さん、きょうはサンマにしときなはれ」

と、ときには客の注文まで変えて売ることもある。

そこにはお互いの信頼関係があるわけである。

もっというと、

「タイください」

といわれたら、

「なんかオメデタ、あったんですか。ほんなら、この魚も持っていきなはれ」

というようなコミュニケーションがあり、地域の情報をそこで共有しているのが市場、商店街なのである。

大企業は資本で勝負、中小企業は専門で勝負、零細企業は小回りと人間関係で勝負する。その人間関係が希薄になれば、お客さんが減るのは当然ではないだろうか。

 

●欠落しつつある大阪商人の心意気

 

「どうかこの人間を一人前の商売人にしてください。」

給料や待遇なんて、どうでもいい。そのかわり”住まい”と”食”だけは与えてやってください。

というのが丁稚制度で、そこには雇う側にも雇われる側にも、人間として「どう育てる」か、「育ててもらう」かという明確な理念と目的があった。

それがいまは、のっけから、知識も能力も何もないのに、

「給料なんぼでっか?」「休日は?」「福利厚生は?」

と聴いてくる。

自分がどういう人間になりたいのか。

自分の子どもがどんな人間になってほしいのか。

肝心な点は思案の外で、親もまた最大の関心事は給料はどうか、休みはどうかという点になってきている。

かつては給料も待遇も結果だった。

ひたすら旦那さんに、番頭さんに、また何よりお客さまに喜んでもらうために、社会のお役に立つために、という思いで働いた。

だから周りも学歴も、能力でもなく、一生懸命に働いている人を応援した。

古いといわれるかもしれないが、そういう大阪の「心意気」みたいなものが、何か最近欠落してきたような気がする。

商売は「損して得とれ」という。

人に喜んでもらい、「人をおぶって」というものが先にあり、

その人間関係・信頼関係のなかで結果として得をする。

それが大阪商人のやり方であり、生き方だった。

 

まとめの内容を中心にご紹介させていただきましたが、
このような考えにいたるきっかけになった具体的なエピソードが本書にはたくさんあります。
経営者として、親として、人として大切なことを教えてくれる本です。

 

【目次と注目ポイント】

まえがき

第一章 一人を大切にするリーダーは必ず成功を勝ち取る

第二章 勝負の世界は勝ったものが強いのだ

・商売というのは、お客様に「おまえが気に入らん」といわれてしまえば、それでおしまいである。

第三章 従業員の潜在能力をどう引き出すか

・「前味」「中味」「後味」

第四章 いつも仕事のことを考えてきた

第五章 相手の心にひびく「口コミ」術

第六章 修学旅行生にトイレ掃除をさせる理由

第七章 「非行少年」引き受けます

第八章 人づきあいの秘訣は「誠意」につきる

・共育
・「美しいものを美しいと思える、あなたの心が美しい」
・感謝の心を形に表す三つの「贈り物」
・人に引き立ててもらう四つのポイント

第九章 「人財」のネットワークはこうして築け

・「五まめ」

第十章 一言の「励まし」が勇気と活力を与えてくれる

・世間は一人の人の姿や行動で全体を判断する

第十一章 最大の励ましとは「相手を思う心」

第十二章 道頓堀の活性化に秘策あり

・いまの時代、何もしなければ間違いなく商店街はすたれていく

第十三章 「人の心」をつかみ「人の輪」を広げる法

・「人が集まる十カ条」(商店街)

第十四章 大阪の底力は「人情」にあり!

・人生80年。昔の「人生50年」に比べれば「六掛け」にしてちょうどいい。
・大阪の街づくりは、かつては民間が行政をリードしてきた。

第十五章 子育てに「方程式」はない

・第三者の力を借りることもあっていい

第十六章 妻がいなければ今日の私はない

・「よいことは一刻も早くしろ。悪いことはやめろ」

終章 両親の深い愛情が私の原点である

・「人の集まらん家はあかん」

あとがき

【今回の一冊】
◆タイトル:できるやんか!
◆サブタイトル:「人間って欠けているから伸びるんや」
◆著者:中井 政嗣
◆出版社:潮出版社
◆ページ数:277

【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆☆

 

【編集後記】
最近はいろいろと飲食業とご縁があります。
味や立地、価格といったマーケティングも大切ですが、人財マネジメントが大切だと強く感じさせられました。

【目指せ100冊レビュー!】
今回で93冊目です。

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