『企画は、ひと言』店舗コンセプト・事業コンセプト・新商品コンセプトのつくり方
【今回のテーマ】
コンセプト
【今回の一冊】
◆タイトル:『企画は、ひと言』
◆著者:放送作家 石田 章洋
◆出版社:日本能率協会マネジメントセンター
◆ページ数:216
◆2014.5.30
【こんな方にオススメ】(5段階)
●新しいものを生み出したい ☆☆☆☆☆
●店舗・事業・商品・サービスコンセプトを考えたい ☆☆☆☆
●企画のつくり方を学びたい ☆☆☆☆
【レビュー】
●コンセプトは5つのSでうまくいく
Short
言葉は短ければ短いほど強くなる
Simple
あなたの企画は「キング・ギドラ」になっていないか?ひと言で説明できない複雑なコンセプトは☓
Sharp
研ぎ澄まされたナイフのようにインパクトのある「刺さるひと言」を
See
いいアイデアは「画(え)」が浮かぶ。企画に求められているものが見える
Share
コンセプトに人を巻き込む。かかわる人がシェアできる合言葉をつくる
筆者は『TVチャンピオン』や『世界ふしぎ発見!』などのヒット番組を企画された放送作家です。
本書はアイデアをアイデアで終わらせず、実現するための方法を実例も交えて具体的に紹介されています。
そして、その新たな企画は「ひと言」で表現すると言われています。
筆者の言う「ひと言」はキャッチコピーではありません。
企画を採用する人や企画にかかわる人が「見える」ものが本書の言う企画で、
その「ひと言」をさらにブラッシュアップし、視聴者や消費者に向けられるのがコンセプトを鋭く伝える「キャッチコピー」とのことです。
例えば、西武百貨店の「おいしい生活」はキャッチコピーで、この一歩手前のものが「モノを売るデパートから生活の提案をするデパートへ」であり、これが「ひと言」にあたります。
トヨタプリウス、AKB48、LINE、任天堂Wii、旭山動物園など、誰もが知っている例を用いて非常にわかりやすく頭にしっくりきます。
新事業や新製品・サービス、新しい店舗コンセプトなど、新しいアイデアを形にしたい方におすすめです。
(1)トンガリ幻想を捨てよ
100%新しい企画は未来永劫実現しません。
実際に、企画は斬新であれば斬新であるほど通りにくくなります。
なぜなら、斬新な企画・アイデアは「見えない」からです。
まずは、あなたの中の「トンガリ幻想」を捨てることからはじめてください。
トンガリ幻想とは、「これまでになかった新しい企画」をひねり出そうとがんばりすぎること。
100%新しい企画は誰にも見えません。
時代の2歩も3歩も先を行く先進的なアイデアを思いついたとしても、その素晴らしさはなかなか理解してもらえません。
時代が追いついていないからです。
行き過ぎたアイデアには誰もついてきません。半歩先を目指しましょう。
(2)「ベタ」に「新しさ」をプラスαせよ
「ベタ」(定番)だけだと、「こんなの前にやったよ!」と突き返されるのがオチです。
企画に求められるのは、ベタを新しいものに変える「プラスα」です。
何を変えて新しくするのか、それを「ひと言」で伝えることができれば、前例のあるアイデアが、「見えてうまくいく企画」に進化するのです。
『TVチャンピオン』は『全国大食い選手権』のフォーマットを利用しました。
そこに、大食いだけでなくこれまであまり注目されてこなかった才能や、腕に覚えのある職人さんたちに注目するというプラスαを加えたのがポイントでした。
「いろんなジャンルの日本一を決める」という「ひと言」からこの企画は始まりました。
「クリエイティビティは組み合わせに過ぎない」byスティーブ・ジョブズ
「クリエイティブ」というと、天才的なひらめきでゼロからすごいことを生み出すセンスのように思われるかもしれません。
しかし、実際はそうではありません。
「既存のアイデア」を上手に組み合わせる力なのです。
(3)プラスαの魔法をかける5つの方法
1.意外なものを足して化学反応を起こす
「英会話番組」+「体操番組」→「英会話体操」
絶対合わないと思っていたものが予期せぬ化学反応を生む
2.何かを変える「サイズ」「カタチ」「味」「匂い」
鉛筆・・・丸型 → 六角形で大当たり
3.引き算する
ダイソン「羽根のない扇風機」
4.ひっくり返す
「雪見だいふく」(冬に売れるアイス)
5.理想のカタチから発想する問題点を完璧に解決すると気負いすぎない
「オレのフレンチ」高級料理を低価格で立食で楽しめる
●「ひと言」をつくりだす3つのステップ
1.「なんのために・なにを・どうする」
「なんのために」は企画・主旨・目的ニーズから考える
例:旭山動物園
なんのために・・・動物本来の姿を見てもらうために
なにを・・・形態展示を
どうする・・・行動展示にする
2.「なんのために」を外し、ひと言うのひな形「3つのC」にあてはめる●Compare(たとえる) 「○○な(ような)○○」
例:iPod
「ポケットに入るような大容量タイプのデジタル音楽プレイヤー」
●Can(~できる)「○○する(できる)○○」
例:任天堂「Wii]
「家族で遊ぶことができる新しいゲーム」
●Change(~に変える)「○○を○○に」「○○から(ではなく)○○へ」例:旭山動物園
「形態展示から(ではなく)行動展示へ」
3.無駄な言葉はすべて削る。短い言葉にパワーは宿る●「略語にする」
例:「ファミレス」「婚活」
●たとえる例:「ポケットに入る」(iPod)
●パロディ・ダジャレにする
例:「世界の社食から」
企画というと、ついついトンガリ幻想で、今までにない世界初、日本初のものをと考えてしまいます。
しかし、本書では「既存の要素の組み合わせ」で新たな企画は生まれると言われています。
その上で企画を生み出すプロセスやヒントを示されています。
「既存の要素の組み合わせ」と考えると、とても気が楽になりますね。
私も新規事業の起ち上げ支援をしていますが、全く新しい世にないものはなかなか市場に受け入れられないように感じています。
一方で、既存のものをベースに、何かが違っていて、そこに顧客満足の要素があるものは売れやすいように思います。
本書を参考に、企画や商品コンセプトを「ひと言」で整理し、新しいことを初めてみてはいかがでしょうか。
【目次】
はじめに
第1章 ウケる企画はみんな「ひと言」
第2章 ウケるアイデアの5原則
第3章 ひと言で発想する技術1
第4章 ひと言で発想する技術2
第5章 「ひと言」を強く、確実に伝えるために
おわりに
参考文献
【今回の一冊】
◆タイトル:『企画は、ひと言』
◆著者:放送作家 石田 章洋
◆出版社:日本能率協会マネジメントセンター
◆ページ数:216
◆2014.5.30
【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆
【関連書籍のレビュー】
コンセプトのつくりかた『成功はすべてコンセプトから始まる』
●コンセプトとは?
(1)良いコンセプト4つの条件
(2)コンセプト立案の4ステップ
(3)ビジネスモデルの三本柱発想法
●コンセプトを実現するための4つの質問
【関連ブログ】
【編集後記】
前回ご紹介させていただいた『成功はすべてコンセプトから始まる』以上に刺激的な内容でした。
業績不振企業を抜本的に変えるには、事業コンセプト・店舗コンセプトの再定義が必要とよく感じます。
本書の内容をさらに深く理解し、実現可能でシャープなコンセプトを経営者と考えられるようにまだまだ勉強したいと思います。
【目指せ200冊レビュー!】
今回で191冊目です。
【過去の書籍紹介はこちらのブログに書いていました】
中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー
【おわりに】
最後までお読みくださりありがとうございました。
今後とも引き続き、当ブログをよろしくお願い
いたします。
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