小さなお店のブランディング事例『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』
【感謝】
読者のみなさまへ
いつもありがとうございます。
寒くなりました。
こちらもそろそろ雪が降りそうです。
【今回のテーマ】
ブランディング
【今回の一冊】
◆タイトル:『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』
◆著者:ケンズカフェ東京 氏家 健治
◆出版社:SB新書
◆ページ数:194
◆2014.1.25 初版
【こんな方にオススメ】(5段階)
●ブランド力を強化したい ☆☆☆☆☆
●看板商品をトップブランドに育て上げたい ☆☆☆☆
●一点集中マーケティングを学びたい ☆☆☆☆
【レビュー】
●一品ビジネスの強み
・1つの商品に集中することで、圧倒的なクオリティの高いものを実現できる
・廃棄ロスが極端に少なくなる
・小さな店でも大量に生産できる
・使用する材料が増えるので、仕入先と有利な条件交渉ができる(どの世界も大口顧客は大事)
本書は、もともとイタリアンレストランで開業したお店が、コース料理で提供していたデザートであったガトーショコラをお持ち帰りニーズに対応したことからはじまり、今では1つ3000円のガトーショコラがメインで、イタリアンレストランは夜の20名以上の宴会のみを受け付けるようにされたケンズカフェ東京の氏家氏が筆者です。
ガトーショコラが、ちょっとしたレストラン客へのサービスから、ビジネスとして1本立ちするまでに4倍に段階的に値上げし、その上で食ベログベストスイーツ2013に選ばれるなど、ガトーショコラといえば、ケンズカフェ東京という地位まで構築されました。
そのブランディングの取り組み内容が大公開されています。
京都でいうと、完全に一品ではないですが、出町ふたばの豆餅などが思い浮かぶ戦略です。
ダントツの看板商品を磨き、育て、ブランド化したい小さなお店、会社にとって非常に参考になる内容だと思います。
(1)ケンズカフェ東京にとってのブランドとは?
<ブランドとは>
目に見えない“ありがたみ”
付加価値と安心感が、消費者の購買意欲をかき立てる<ブランドの背景>
「ガトーショコラへの思い入れと知識は誰にも負けない。
ガトーショコラをブランド化できるのも私しかいない」
という強烈な自負心。<ブランド化の大前提>
商品力。他が真似できないクオリティ。
「ちょっとおいしい」ではダメ。
「ダントツにおいしい」と感動してもらえないとトップブランドとは言えない。
(2)ブランド力の伝え方
1.一流を見方につける
実際にご縁があり、ご購入いただいた一流の人たちに認めてもらう
これが雑誌などのメディアで取り上げてもらう決め文句になる
「世界50カ国以上の駐日大使へお届けしているセレブ御用達の味わいを、ぜひご賞味ください。」2.パッケージングにこだわる
「これは本格的な佇まいだ。きっと美味しいに違いない」
と思わせるパッケージが理想
オリジナルの貼り箱と手提げ袋。
値上げの度により上質にランクアップ
ティファニーのアクセサリー、ルイ・ヴィトンやエルメスの小物を入れてもおかしくないレベル
中身の上質さを伝える落ち着いた色合い
そのために高級ブランドの商品を実際に買ってみてパッケージを検証3.頃合いの限定感を演出する
シェフ一人による完全手作りのため、限定生産
4.知人や店の近所の人に機会が
あるごとにガトーショコラをプレゼント
味や価格帯について素直な意見をヒアリングするためその中のネイルサロンが、藤井フミヤさんの弟の奥様とつながりがあり、藤井フミヤさんがテレビで紹介するきっかけに種をまかないと花は咲かない
5.メディア露出までの考え方
味に絶対的な自信があり、食べたお客様は「美味しい!」と感激してくれていたので、いつかテレビで取り上げられるチャンスもあるだろうという予感はなんとなくあった。
それが1年後になるのか、2年後になるのか、それとも5年後なのかは、神のみぞ知ることいつチャンスが巡ってくるにしてもガトーショコラの商品力を磨き続け、いつ表舞台に出ても恥ずかしくない
状態にしておこうと心に決めていた。
(3)インターネット活用
1.ぐるなびレシピでレシピを公開
真似されるのは折込済。1本3000円では売り辛く、先行する本家にかなわない。
私の店とガトーショコラをもって知ってもらえるバレンタインの前後は1日2万件以上のアクセスレシピから将来の購買につながる可能性も高い
2.SEO対策は重要
「ガトーショコラ」で検索すると1ページ目に表示
内部対策 → 「ガトーショコラ」「お取り寄せ」「テイクアウト」「通販」をページ内に頻出
外部対策 → 被リンク → 被リンクが多いのは
ネット上で評判やうわさになっている証拠
ブロガーとして影響力のあるインフルエンサーに評価してもらい、リンクを貼ってもらう3.フェイスブック等SNS・ブログ
ケンズカフェ東京と、特撰ガトーショコラの存在を思い出してもらう
ザイオンス効果(目にする回数が多いほど好感度が上がる)
4.公式メールマガジン
ケンズカフェ東京のリアルタイムの情報がほしいという会員のみを丁寧に増やし、1万人のメンバー獲得
●ダントツのスペシャリテ(看板商品)を持つ
1.「うちのスペシャリテはこれです!」といえる店は繁盛店の共通点
2.味とサービスで勝負する。わかりやすい上質感が必要
3.低価格で勝負しない
4.ひたすら味とブランド力を磨き続けてワン&オンリーの抜きんでた存在になってしまえば、どんな時代になってもお客様から愛されて選ばれる存在になる
5.スペシャリテには物語がある
今回とても印象的だった点をご紹介しました。
他にもどのように値上げをしていったかもとても興味深いお話です。
今は宴会のディナーだけレストラン営業をされているとのことですが、ガトーショコラ1本に絞って、他の料理・メニューを切るということは並大抵の意思決定ではないと思いました。
パン屋さんや、ケーキ屋さんがいろいろな商品を売られているのを見ると、大変勇気のいることだと思います。
ブランドに関する書籍はいろいろとありますが、小規模事業者向けという視点で、今まで読んだ中で最も勉強になったように思います。
わかりやすくて、具体的で、ネット活用などはホームページ等で実際に確認できます。
商品・サービスには自信を持っているが、認知度を高め、ブランドとして発信していくのにお悩みの方、いつのまにか商品・サービス点数がたくさんになってしまい、特徴がぼやけてしまっている方、本書の一点集中マーケティングを現状打破のヒントにされてはいかがでしょうか。
【目次】
はじめに
第1章 なぜ4倍してもお客が増えるのか?
第2章 今より高く売る!ブランドの育て方
第3章 ブランド力の伝え方
第4章 ”ありがたみ”を形にするサービスブランディング
第5章 究極の1品ビジネス
第6章 スペシャリテ(看板商品)の磨き方
第7章 ダントツのネット活用術
第8章 どん底だから勝機が見えてくる
第9章 正しいチャレンジのしかた
【今回の一冊】
◆タイトル:『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』
◆著者:ケンズカフェ東京 氏家 健治
◆出版社:SB新書
◆ページ数:194
◆2014.1.25 初版
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【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆
【関連リンク】
ケンズカフェ東京
ケンズカフェ東京の食べログ
究極のガトーショコラのぐるなびレシピ
ケンズカフェ東京 特撰ガトーショコラの動画
【編集後記】
さっそく購入してみようと思いましたが、今は繁忙期ということでネットでは買えませんでした。
本書を紹介してくれた友人のT氏に心から感謝です。
【目指せ200冊レビュー!】
今回で166冊目です。
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