【こんな方にオススメ】(5段階)
●お金以外で社員のやる気を高めたい ☆☆☆☆☆
●自律型社員を育てたい ☆☆☆☆☆
●パート・アルバイトの定着率を高めたい ☆☆☆☆
●社員がついてくるリーダーになりたい ☆☆☆☆

【今回のテーマ】
社員・パート・アルバイトのモチベーションUP

【今回の一冊】
◆タイトル:『社員もパートもみずから動き出す心の報酬の与え方』
◆著者:組織活性化コンサルタント 中 昌子
◆出版社:阪急コミュニケーションズ
◆ページ数:207
◆2013.2.14 初版

 

【レビュー】

●「わくわく社員」とは

「せっかく採用した従業員がすぐに辞めてしまう」
特に中小企業において、多くのリーダーに共通する悩みです。
大手企業のような経営体力がない中小企業には、手厚い従業員教育をするだけの時間的・金銭的余裕がないのは事実です。
しかし、そこにリーダーたちの”甘え”が生じてはいないでしょうか。

というのも、従業員が育たないことを、彼ら自身の努力が足りないことや、やる気のなさのせいにしているリーダーが大変多いのです。
本気で従業員の定着率アップを目指し、会社の成長を望むのなら、いま一度、経営トップの方には「人を育てること」の必要性を意識していただきたいと思います。
「人のために働く喜びを感じられる社員こそが、真の顧客満足・顧客感動を生み出すことができる」
私は、そんな社員のことを「わくわく社員」と呼んでいます。
そんな社員を増やすためのキーワードが「心の報酬」です。
心の報酬とは、「役立ち感」であり「成長感」であり、「チームの絆」です。
心の報酬を受け取った従業員たちは、毎日、わくわくした気持ちで仕事に取り組み、人に指示されなくてもみずから動き出してくれます。
わくわく社員の特徴は、周囲の人たちをも巻き込み、彼らをわくわく社員に変えてる力を持っていることです。
つまり、わくわく社員は増殖します。

【わくわくDNAを持っている人の10の特徴】
1.元気な挨拶ができる
2.笑顔でいる場面が多い
3.声が明るく、はきはきとしている
4.目力がある
5.行動が早い
6.面倒くさがらず、何事にも一生懸命である
7.好奇心旺盛、何事も楽しめる
8.アイデアが豊富
9.素直に「ありがとう」「ごめんなさい」が言える
10.人が好き、自分のことも大好き
(おまけ)少しおちゃめなところがある

本書は、地元密着方のスーパーで子育てをしていた専業主婦である筆者が時給760円のパートとして働き、自分が心の報酬を受け取り、わくわくしながら働き、3年目に店長に抜擢されました。

今度は心の報酬を与える側にまわり、スーパーは来客数3倍、売上3倍の地域で評判のスーパーになったとのことです。
これが評判となり、外部からの研修依頼が来るようになり、人材育成・組織活性化コンサルタントとして独立し、現在ご活躍されているとのことです。
筆者自身が実績がある上でのお話なので、話が具体的で、説得力があります。また、スーパーということでイメージもしやすく、説明もとてもわかりやすいです。
従業員にもっと活き活き働いてもらいたいと思っている経営者・管理者におすすめの一冊です。
ただ、組織を変えるにはまず自分から変わる覚悟が必要です。

(1)「よい思い込み」で部下の可能性を引き出す

よい思い込みを持ったリーダーに目に映る部下は、いつでも「素晴らしい取り柄を秘めた優秀な人材」
です。
そんなリーダーは、自分はその素晴らしい取り柄を発掘し、伸ばしていく責任があると確信しています。
一方、

「彼・彼女はやる気がない、能力がない、何を言ってもムダだ。」
といった「悪い思い込み」を捨てられないリーダーは、その思い込みが邪魔をして、部下のよいところを発見できません。
リーダーにとって、目に映る部下は、いつでも「ダメな部下」であり、そこから取り柄を発見し、育てていこうという気持ちすら起こらないのです。
よい思い込みがあるかどうかが、部下の可能性を引き出す上司と、部下の可能性を潰す上司の違いなのです。
彼らが仕事をしているとき、その表情、声、姿勢、言葉遣い、話し方、歩き方、お辞儀の仕方まで、普通とは違うポイントに注目してみるのです。
また、部下の本領を発見し、彼らの可能性を引き出すためには、部下の話をしっかりと聴くことも必要になってきます。

(2)部下を会社に繋ぎとめるのは「成長する上司」

想像してみましょう。
部下たちがいま、あなたの働く姿を見てどう思うか。
「ここで5年、10年と頑張ったら、あんなにかっこよく成長できるんだ。」
「あんなふうに仕事ができるようになりたい」
「あの人ぐらい大きな背中でありたい」

部下がそう思えるぐらい、あなたが素晴らしい上司であったなら、ちょっとやそっとの壁にぶつかった
くらいで、彼らが会社を辞めるようなことはないでしょう。
逆に、あなたの姿がモチベーションを下げている可能性があります。
「10年頑張ってもこの程度か・・・」
「ああはなりたくないな・・・」
ここではどんなに頑張っても暗い未来が待っているだけ。
誰しも、そんな会社に長く勤めたくはないものです。
実際、退職者に会社を辞めた理由を訪ねると、
「上司を見ていると会社の将来性に希望を持てなかった」
と答える人が少なくありません。
従業員は、いつも会社の成長性・将来性を感じたい思っています。それは彼ら自身が「成長感」を得るための前提だからです。
自分の可能性がより引き出される職場を彼らは探しています。
会社の将来性や成長性が、従業員の定着率に大きく貢献するものであるのは、そのためです。

 

(3)「ビジョンの見える化」で思いをひとつに

従業員全員の思いをひとつにし、ビジョンの実現に向かって突き進むためには、日頃からリーダー自身の思いを語る機会を設ける必要があります。
朝礼でもミーティングでも、食事を一緒にする機会でもいいのです。
私自身、スーパーの店長時代は、毎朝の朝礼の時間を利用しました。
「みんなで将来、こういうスーパーにしたいよね!」
「そんなふうになったら素敵だよね」
「だから、私たちは○○しないとね」
こうしたリーダーの熱い想いや語りが従業員を巻き込んでいきます。
しかし、これだけでは具体的な目標にはなりにくい。
そんなとき必要になるのが「ビジョンの見える化」です。
自分たちが目指すべき姿を、目に見える形で提示することです。
静岡県浜松市にある都田建設さんは、「おもてなし経営」で有名な、感動溢れる建設会社です。
浜松の同社を訪ねると、敷地入口で企業理念が書かれた1枚の大きなボードが目に入りました。
そして「お客様の感動を創造し、お客様の幸せを提供する会社になる」というビジョンが絵で表現され、従業員の目にとまる場所に飾ってありました。
その絵は、人と感動が溢れる都田ワールドとして、都田建設さんを中心に街作りが広がっていく様子が見事に表現されており、街中に働く人たちと住む人たちのたくさんの笑顔と幸せが溢れているように感じました。文字だけでは、社員の解釈はバラバラ。
それをビジュアルに置き換えることで、社員それぞれが抱く「お客様の感動」イメージを統一したのです。

 

●北風のマネジメントから太陽のマネジメントへ

これまでたくさんの会社で従業員研修を行ってきて実感するのは、会社が変わるには、まずリーダーが
変わる必要がある
ということです。

部下を変えようと思ったら、まずリーダーが変わる。
会社の業績を上げようと思ったら、まずリーダーが変わる。
顧客満足を徹底しようと思ったら、まずリーダーが変わる。
すべての変化のおおもとには、いつもリーダーの存在があるということです。
イソップ寓話の「北風と太陽」で語られているように、人を無理に動かそうとしても抵抗されるばかり。
逆に、自分の意志で動きたいと思わせる環境をつくることが大切です。
部下が変わることがあるとしたら、部下自身の意志で「変わりたい」と願ったとき、「変わらなければならない」と気づいたときだけです。
あなたの役目は、そのための機会を提供すること。
そして、それが「まずリーダーが変わってみせる」ということなのです。
今日から「人をどう動かすか」考えるのは、やめにしましょう。
部下をわくわく社員にしたければ、まず自分がわくわく社員になること。
部下を笑顔にしたければ、まず自分が笑顔になること。
会社を愛してほしいなら、まず自分が会社を愛すること。
仕事に誇りを持ってほしいなら、まず自分が仕事に誇りを持つこと。
あなたがその一歩を踏み出せば、どんな組織も変えられます。

リーダーから変わること、リーダーがあきらめないことの大切さがとても印象に残りました。
ほかにも「ほめ方」や「叱り方」、イベントを行う意義など
についても具体的に紹介されております。
どれだけすばらしい戦略があっても、現場の人が動かなければ
絵に描いた餅に終わってしまいます。
ぜひ従業員全員を巻き込んで毎日がワクワクする職場
づくりに取り組んでみせください。
会社は経営者やリーダー以上の器にはなりません。
変化はまず自分から。

【目次】
はじめに
Chapter1 成功は「わくわく社員」づくりから
Chapter2 心の報酬1「役立ち感」でやる気をアップ
Chapter3 心の報酬2「成長感」で定着率をアップ
Chapter4 心の報酬3「絆・連帯感」で業績をアップ
Chapter5 みんなを巻き込むリーダーになる
Chapter6 すべてはリーダーからはじまる
おわりに

【今回の一冊】
◆タイトル:『社員もパートもみずから動き出す心の報酬の与え方』
◆著者:中 昌子
◆出版社:阪急コミュニケーションズ
◆ページ数:207
◆2013.2.14 初版

【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆

 

【編集後記】
中さんはとても魅力的な方だと読んでいて感じました。
人のことで悩んでいる企業さんは多いです。
本書の内容を参考にしていただいて、人が定着する会社づくりに挑戦してもらえたら嬉しいです。
「できない理由」を挙げるのではなく、「どうしたら定着率が高められるか」を考えることが大切ですね。

【目指せ200冊レビュー!】
今回で158冊目です。

丹波経営研究会