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【書籍紹介】社員を大切にする経営

ワーク・ライフ・バランスの実践法『部下を定時に帰す仕事術』

社員を大切にする経営

【こんな方にオススメ】(5段階)
●職場全体の残業を減らす具体的ノウハウが知りたい ☆☆☆☆☆
●ワーク・ライフ・バランスのメリットを知りたい ☆☆☆☆
●個人の仕事の効率を上げる仕事術を知りたい ☆☆☆☆

 

【今回のテーマ】
残業削減

【今回の一冊】
◆タイトル:『部下を定時に帰す「仕事術」』
◆著者:東レ経営研究所社長 佐々木常夫
◆出版社:WAVE出版
◆ページ数:207
◆2009.2.25 初版

 

【レビュー】

●実践の中で生み出されたワーク・ライフ・マネジメント

本書は、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」を実現するための仕事処理技術として紹介されるかもしれません。
しかし、私が体験してきたことは「ワーク・ライフ・バランス」などという生易しいことではありません。
仕事も家庭も徹底的にマネジメントして、必死の思いでやり抜いてきました。
いわば、「ワーク・ライフ・マネジメント」とでもいうべきものなのです。
社員個々人のワーク・ライフ・バランスを実現するためには、マネジメントが極めて重要だということです。
社員が必死で仕事を効率的に進めても、リーダーの段取りが悪ければ台無しなってしまいかねません。
課長クラスの「ワーク・ライフ・マネジメント」の力量が問われているのです。

筆者は課長時代、長男の自閉症・妻の肝硬変による入院・うつ病のために毎日6時には退社して家事の一切を自分でしていく中でタイムマネジメント術を編み出されました。
課全体として残業を削減するという視点、自分自身の無駄な時間を減らすという視点が大変具体的に描かれております。

第1章から第3章までが具体的な仕事術、第4章・第5章は広く仕事をする上での心構え、処世術、経営者について書かれ、第6章はワーク・ライフ・バランスについて述べられています。

残業を減らし、定時に帰宅し、生産性が高く、やりがいのある職場、働きやすい職場づくりを目指される方に特におすすめの一冊です。

(1)課単位での具体的取り組み

1.会議の見直し
会議を半分に減らした
・継続する会議も時間を半分に圧縮。資料は事前配布を義務づけ

2.業務のムダの洗い出し
a.過去1年間の業務週報を担当者・月毎に何に何日かけたかをB4の表に
b.各業務について、本来どの程度の期間で終わらせるべきかの必要工数を設定
c.必要工数と優先度をつけ、自らデッドライン(締切)を決め追い込む
d.前もって工数を見積もれない仕事は、とりあえず始めてみて、ある程度わかったところで計画を立てる
→課全員で計算すると、実際に全員が投入した時間の40%でいいと判明

3.過去の仕事をDB化し活用する
・過去の仕事を整理し、フォーマットを活用したり、考え方を借用する。これによる独力で考える人の半分以下の時間で仕事は完成する

 

(2)佐々木常夫氏のタイムマネジメント術

■「時間予算」の発想
・真に使える自分の時間は30%と見積もる
・70%は、突然の来客、上司からの呼び出し、社内外からの電話によって消える
・自分へのアポイントを入れる
  a.一週間に1回程度は自宅勤務を推奨
  b.一定の時間外部と遮断した場所(会議室・喫茶店・在宅)に避難する
隙間時間を使い切る(常に複数の仕事を持ち歩く)

■仕事はその場で片づける現場主義
・議事録の作成等は、1日経つと精度も落ち、時間もかかる

■書類を探さなくて良いように整理整頓する。どんどん捨てる。

午前中に仕事の半分は終わらせる

■アポを断り、資料をメールでもらい、電話で話を聴く。
(相手の訪問往復時間も記帳な時間の浪費と考える)

(3)ワーク・ライフ・バランスが進まない3つの理由

1.「職場の多忙さが日本企業競争力の源泉」という考え方
・高度経済成長時代の感覚が依然としてある
人より少しでも多く働けば成果があがる時代ではない

2.研究開発型の発想
「寝てもさめても仕事のことを考えることによって、人は育ち、仕事にも幅ができる」

3.経営者的発想
ワーク・ライフ・バランスを進めると、社員が育休をとったり、出産して短時間労働になったりするので、
「企業にとってコストアップが生ずる」
「社員を一度採用してしまえば終身雇用で働いてもらうことになる。だから、いわば投資してしまった設備のようなもので、目一杯フル稼働させて投資額を回収しなければならない。」
この根本的な考え方を改めねばならない。

 

●個人も会社も成長する「ワーク・ライフ・バランス」のメリット

1.社員満足度を高める
・体調が良くなる。いいアイデアが出るようになる。
・社員は自分の好きなことができる。これが「頑張る気持ち」につながる
 ※残業続き→疲れる→「頑張る気持ち」が萎える

2.生産性を上げる
・ワーク・ライフ・バランスを実現しようとすると自ずから生産性は上がる
・結果、企業の競争力が上がる
 ※会議の数が多い、時間が長いは会社の高齢化を表現している

3.優秀な人材が集まり、定着する
「働きやすい会社」として世に知られる
・社員が会社に誇りを持ち、仕事の生産性が向上することによって「強い会社」になっていく

※一般に出産・育児のために女性社員の70%が退社していく

「うちは製造業のように残業を減らせない」時々こういった言葉を聞くことがあります。
本書で特徴的なのが、東レは製造業ですが、筆者は企画管理部、管理部門で実現されていることです。
また、筆者は現在、東レ経営研究所というシンクタンクで自ら培ったワーク・ライフ・マネジメントを実践されております。
私のようなコンサルティング業でも、サービス業でも、企画や管理部でもこの考え方は応用できます。
本書をきっかけに1つでも、時間削減仕事術を実践されてはいかがでしょうか。

 

【目次】
プロローグ 私の「仕事術」はこうして生まれた
第1章 計画を先行させる「戦略的仕事術」
第2章 時間を節約する「効率的仕事術」
第3章 時間を増大させる「広角的仕事術」
第4章 佐々木流「独断と偏見のアドバイス」
第5章 社員を活かす経営者になれ
第6章 ワーク・ライフ・バランスが強い会社をつくる

【今回の一冊】
◆タイトル:『部下を定時に帰す「仕事術」』
◆著者:東レ経営研究所社長 佐々木常夫
◆出版社:WAVE出版
◆ページ数:207
◆2009.2.25 初版

【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆

【編集後記】
本書を機に恥ずかしながら多忙を理由に中断していたタイムマネジメントと生産性の評価を再開しました。
業務日報を作成している職場は多いと思いますが、それを活用しないといけないですね。
大いに反省しました。

【目指せ200冊レビュー!】
今回で163冊目です。

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