20のチャートが、短時間で、革新的なアイディアを生む!

【こんな方にオススメ】(5段階)
●従業員100人未満の会社のための実践的マーケティング手法を学びたい ☆☆☆☆☆
●パート・アルバイト含め全員参加型の経営戦略会議を構築したい ☆☆☆☆
●どうしたらもっと売れるか知恵を絞りたい ☆☆☆☆

 

【感謝】
読者のみなさまへ、いつもありがとうございます。
新政権がめまぐるしく動き出しました。
中小企業憲章、中小企業の法人税率引き下げ、返済猶予等の金融支援など中小企業政策の動向に注目しています。

 

【今回の一冊】
◆タイトル:60分間企業ダントツ化プロジェクト
◆サブタイトル:~顧客感情をベースにした戦略構築法~
◆著者:神田昌典
◆出版社:ダイヤモンド社

【レビュー】

●星の数ほどある通常の戦略書とはここが違う

この本の目的は、あなたの会社を黙っていても顧客を魅了し、顧客から選ばれる会社にすることである。そのための戦略をステップ・バイ・ステップで提供していく。
他の戦略書とは以下の点で大きく異なる。

1.コンサルタントではなく、起業家が書いた本である
2.従業員数100人未満の普通の規模の会社が前提
3.戦略の構築に際し、スピードを重視している
4.戦略を創造していく過程で、戦略思想を身につけ、

そしてトップダウンではなく、チーム全体で戦略を考える分析に重点を置くいままでの戦略は、MBA等で学んだ社員もしくはコンサルタントが、密室の中で考えたものだった。
それは論理的にどんなに正しくても、社内では受け入れられないことが多い。
なぜなら人間は論理で動くのではなく、感情で動くからである。
論理的な戦略を導入しようとすればするほど、社内では受け入れられない。なぜならば、過去の自分を否定されたように感じ、変化を恐れるからである。
即、実行できる戦略を構築したいのなら、社員自らが戦略を編み出し、経営者は彼らのコーチ役として導いてあげる姿が望ましい。

筆者は上記のように述べ、顧客感情をベースにした一般の戦略とはずいぶん異なる手法である”スター戦略構築法”を紹介している。

●商品コンセプトが顧客にきちんと伝わっているか?

「顧客はそんなことは知っている」
と顧客の知性を高く期待しすぎてはいけない。
小学生でもわかるように商品が説明されている必要がある。

時間でいうと20秒以内にわかりやすく説明し、直感的に理解してもらわないといけない。
また、顧客自身がその商品を使っている姿をイメージできることが重要である。
そのためにはネーミングも重要で商品を直感的にわかるような名前にしなければならない。

●顧客の購買タイミングを考える

家電店でのテレビ売場でのこと。
黙って立っているだけなのに、なぜかどんどん売れていく店員と、一生懸命接客するのに売れない店員との決定的な違いは声をかけるタイミングである。
テレビフロアに来た瞬間にお客に声をかけると、お客は売りつけられるのでは、と警戒して、その場から逃げてしまう。
ところが、売れる店員はそのまま素知らぬ顔をして、忙しそうに仕事をしている。タイミングをうかがっているのだ。そして、お客がリモコンやボタンを出したときに、声をかけるのだ。

店員「テレビをお探しですか?」
お客「えぇ、これは新しい機種なのかなぁ…。」
店員「新しい機種をお探しですか?」

こうしてお客との会話にスムーズに入っていくのである。
リモコンを触りだしたお客の約7割が購入をするという。
このように顧客に声をかける、営業するタイミングで営業スタッフは害虫にも天使にもなる。販売タイミングは次の二点から考えることが重要だ。
第一の点は、あなたがどんなにすばらしい提案をしても、顧客の反応は、季節や天候、または経済動向、法律等の外部環境の変化により大きく影響を受ける。

その結果、同じ営業をしていても売上に大きな差が出てくる。
第二の点は、顧客の内部環境の変化に応じた販売タイミングの把握である。

下記はさきほどのお客の心の動きである。

「テレビを買うか、買うまいか?」
「買うんだったら、どれにしようか?」
「この価格は妥当なのか?もっと安くかえるところがあるのかも…」
「これを買ったら、いまのテレビ台に置けるのか?」
「買うんだったら、この機種か、この機種だな」
「決め手は音質だな。よしどの機種の音がいいのか、店員に聞いてみよう」

このような内面の心の動きがあった後に、初めて店員に声をかける。
店員は顧客の心の動きに対して、タイミングよく対応する必要がある。
タイミングが早くても、遅くても売上を落とすのである。

 

●購買欲求をシステマチックに高める

いまは幸せ状態である顧客に差し迫った必要性を感じさせて行動させるにはどうすればいいか。
そのためには顧客が怒り、悩み、不安を感じる場面を五感を使って描写する必要がある。
人間が新しい行動を取る上で最も重要なのはメンタル・リハーサルである。快楽を追求し、そして苦痛を避けることが人間の根元的欲求である。
顧客のニーズとウォンツを分析し、ニーズを差し迫った必要性と言えるところまで高め、ウォンツを抑えきれない欲求と言えるところまで高める必要がある。

例えば、浴室暖房機を売らなくてはならないと仮定する。本書を読んでいない人は次のように発想する。
「このN社製の浴室暖房機は、短時間で寒いお風呂が暖まります。だからお子様やご年配の方にとっても優しい!」
これはニーズもウォンツも低くて売れない。

しかし、本書の分析を行うとこうなる。
「注意!60歳以上の中高年の方冬場のお風呂は、危険です。ヒートショックをご存知ですか?
暖かい部屋から急に温度に下がったところに行くと、一時的に血圧が高まり、脳溢血を起こす人が増えています。とくに60歳以上の中高年の死亡率は、交通事故を超えるほどの危険性があります。寝たきりになっている人のきっかけのうち、一番多いのは、お風呂場でのヒートショックなのです。急にふらっと来て、そのままドスンと倒れる。それからは救急車。いままでの生活が一瞬のうちに暗転し、何年間も寝たきりの介護をすることになるのです。
「後でいいや」「考えたくもない」。
その気持ちはわかります。ところが、実際に、介護をする立場になってみると、あのとき「後でいいや」と考えていたことを、腹立たしくさえ思うのです。
浴室暖房機は、一日当たりコーヒー一杯分の費用しかかかりません。しかも暖かいという快適さだけではなく、雨のときでも洗濯物に悩む必要がなくなるのです。
いまなら新製品との入れ替え時期なので、旧機種がなんと四割引。性能はほとんど変わりません。さらに先着10名様に浴室におけるタオル乾燥機も無料で進呈させていただきます。
このように表現を工夫していけば、行動するメリット行動しないデメリットがはっきりとし、その結果、抑えきれない欲求と言ってもいいほどの強い欲求を感じさせることができるだろう。

 

●6つの切り口を20のチャートで革新的アイデアを生む

以上、”商品”、”タイミング”、”メッセージ”の3つの切り口の一部をご紹介しました。
スター戦略構築法とは”商品”、”顧客”、”顧客”、”競合”、”収益シミュレーション”、”タイミング”、”メッセージ”の6つの切り口を60分間で分析し、圧倒的な競争力を実現する戦略を構築します。
そのために使用する20のチャートは企業戦略という見えない議論を視覚的に見えるものにし、短時間で発想を促すためのツールです。
チャートを使うコツは、時間をかけずに混乱を楽しみながらすすめていくことです。
非常に盛りだくさんな内容で小規模事業のマーケティング戦略のバイブルといっていい名著です。
他にも実践的なヒントやアイデアが満載で大変勉強になりました。
適切な質問、思考の順番がわかればMBA等の経営知識がない者でさえ、誰にでも楽しく、素晴らしい事業戦略を見出すことができると筆者は最後に述べています。
神田氏の感情マーケティングの集大成といえる一冊です。

【目次と注目ポイント】
第1章 戦略は足し算ではなく、掛け算から生まれる
●日本の中小零細企業のほとんどが戦略を勉強しない
●実行力を高めるためにアイデアに対してオーナーシップを持たせる
★第1ステップ:商品1…ライフサイクル分析★

第2章 未来を予測する経営者
●成熟期の対応策
●適切なタイミングで成長する商品に出会い、適切なタイミングで手放す
★第1ステップ:商品2…さらに3つの分析法★

第3章 「経営なんて簡単なのに、なんでみんな成功しないのかなぁ」
●ネーミングの秘訣
★第2ステップ:顧客★

第4章 理想の顧客に出会う方法
●顧客を選ぶ会社は、顧客に選ばれる顧客を選ばない会社は、顧客にも選ばれない
●絶対付き合いたくない客とはどんな客ですか?
★第3ステップ:競合★

第5章 愚者は俺ならできると考える。賢者は愚者でもできることをやる
●最強の競争戦略とは戦わないこと
●どうして既存のお客さんはあなたの会社を選んだのか?
★第4ステップ:収益シミュレーション★

第6章 ビジネスは大人が遊ぶ数字のゲーム
●ダイレクトマーケティング
★第5ステップ:タイミング★

第7章 害虫になるか、それとも天使になるか?
★第6ステップ:メッセージ★

第8章 購買欲求をシステマチックに高める方法
●いままで作り上げてきた戦略をどのような魅力的な言葉で顧客に伝えるかという戦術

★最終章:統合★
第9章 ヒラメキは、集中した思考の後に降ってくる

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◆タイトル:60分間企業ダントツ化プロジェクト
◆サブタイトル:~顧客感情をベースにした戦略構築法~
◆著者:神田昌典
◆出版社:ダイヤモンド社

 

【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆
●ボリューム ☆☆☆☆

 

【編集後記】
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
この本は本当に勉強になりました。
すごくおすすめです。
中小企業の実践的なマーケティングを学びたい方必見です。

 

【目指せ100冊レビュー!】
今回で34冊目です。

丹波経営研究会