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【書籍紹介】補助金申請書(事業計画書)

小さな会社が補助金に採択されるコツ『採択される補助金申請書の書き方』

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【今回のテーマ】

補助金申請書の書き方

【今回の一冊】

◆タイトル:『採択される補助金申請書の書き方』

◆著者:強み経営コンサルティング有限会社 代表取締役 梅原 清宏

◆出版社:強み経営コンサルティング有限会社

◆ページ数:57ページ(紙の場合で推定)

◆2015.11.23

【こんな方にオススメ】(5段階)

●ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金の申請を考えている ☆☆☆☆☆

●小規模事業者持続化補助金の申請を考えている ☆☆☆☆☆

●商工会・商工会議所職員・税理士・社会保険労務士等事業計画が必要な補助金申請の支援者 ☆☆☆☆

【レビュー】

●日常的な仕事を新たな視点で見直す

新たな技術の開発や新たな市場の開拓は、リスクは高いが成功したときのリターンも大きい。
このような事業こそ、補助金で応援するのにふさわしい。

このように評価され、新規性の高い事業は補助金に採択されやすいです。

しかし、採択後の事業の進捗をみていると、新規性の高い事業ほど結果としてはなかなかうまくいかないのです。

もっとも成功確率が低いのは、その企業にとって技術も新しく、市場も新しい「多角化戦略」です。

一部の例外を除いて、このタイプの事業は、少なくとも数年では立ち上がらないことが多いです。

また、既存技術で新しい市場を開拓する「新市場開拓戦略」も、なかなか成功事例が生まれていません。

経営資源が非常に限られた小さな会社における新規事業の取り組みは、やはり既存の技術と既存の市場をベースに考えるべきでしょう。

日常的に取り組んでいる仕事を新たな視点で見直すことこそが、小さな会社が飛躍する原動力だと思います。

毎年、この時期に国の補正予算に基づく補助金の公募が行われます。

具体的には、ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金、小規模事業者持続化補助金などです。

私も公的な補助金の申請書作成・添削・補助金攻略セミナー・採択後のフォローを業務として行う時があります。

おおさか地域創造ファンド地域支援事業助成金のコーディネーターを現在させていただいているのですが、筆者は私の先輩格にあたります。

筆者は、おおさか地域創造ファンド地域支援事業助成金という公的な補助金プロジェクトに9年間従事し、40位上の企業の補助金を活用して新たな事業に取り組む様子を間近で見て来られました。

・応募申請書(新規事業の事業計画書)の作成
・採択後の進め方
・補助対象経費の使い方
・補助金支出のエビデンス(証拠書類)の揃え方

これらの現場でのノウハウから、小さな会社が公的な補助金を活用して会社の業績を向上させる方法が書かれています。

本書はページ数が少なく、簡単に全部読めます。また、250円ととても手軽なお値段です。

補助金に採択されるには、その補助金の制度と、申請書の書き方をよく知ることです。

また、採択されても「こんなはずじゃなかった。」とうまく活用できない場合もよくあります。

第一章では、補助金に採択されどのような事業者が成功するのか、失敗するのかが書かれています。

第二章では、補助金申請書のポイントが解説されています。

第三章では、注意点として、気になる事務的な負担や複数の補助金に応募するコツが書かれています。

現場で実際に体験されたことがまとめられているので、大変説得力があり、実践的な内容です。

応募を検討されている補助金の説明会申請書作成セミナーに行くのが理想ですが、

本書を読むことで補助金のことがよく理解でき、補助金申請共通のポイントを学習することが可能です。

補助金採択には間違いなくコツがあります。それを知っているかどうかで採択確率は大きく変わります。

補助金申請書作成支援の初心者の方、いつも苦労されている方にもおすすめです。

これから応募をお考えの方は本書でまず補助金を理解することからはじめられてはいかがでしょうか。

(1)多くの補助金に共通する6つの審査基準

審査基準は補助金ごとに決められていますが、以下の項目は多くの補助金に共通するものです。

1.新規性・革新性及び優位性

・自社既存事業及び他社既存事業と比較して新規性・革新性を有するか

・価格的・性能的な優位性を有するか

・類似の取り組みや競合品について調査しているか

2.市場性

・想定している市場のニーズを踏まえているか

・顧客及び市場規模が明確か、市場の成長が見込めるか

・調査不足ではないか(お客様がいるかどうかわからないまま事業に取り組もうとしていないか)

3.事業化までの課題とその解決方法の妥当性

・「やってみないとわからない」で済ませていないか

・やるべきこと(課題)と、優先順位の明確化ができているか

4.実現可能性

・人材、事務処理能力、最近の財務状況等から遂行できると期待できるか

・課題解決に向けての連携体制が整っているか

・特に赤字決算の場合、事業に必要な資金が調達可能か

5.経済性

・実施計画・収支計画が詳細に検討されているか

・投資資金に対して、想定している売上・収益の規模が妥当か

6.政策面

・厳しい環境のもと、新事業に取り組むことで他の企業のモデルと成り得るか

・地域経済の活性化につながることが期待できるか

・経営革新計画を取得しているか

(2)補助金のミッションから読み取れることとは?

公的な補助金には必ず「なんのためにその補助金制度を設けたのか」というミッションがあります。

それは公募要領に記載されています。

例えば、

「この補助金は、中小企業・小規模事業者が自社の強み(技術や人材)を活用して、新製品や新サービスを開発するなど、新しい事業に取り組むために要する経費の一部を補助することで、地域中小企業・小規模事業者の競争力強化を支援し、地域経済の活性化を図ることを目的としています。」

と書いてあるとしましょう。この補助金のミッションを踏まえると、あなたが書く申請書からは、次の内容が明確に読み取れる必要があります。

・技術や人材面の強みは何か?

・応募事業ではその強みをどのように活用するのか?

・応募事業ではどのような製品・サービスを開発するのか?

・応募事業と既存事業とはどこが異なり、何が新しいのか?

・応募事業に取り組むことで、どのような点で競争力がアップするのか?

・応募事業に取り組むことで、なぜ地域が活性化するのか?

補助金の目的を意識して、隠れた問いに対する回答をもれなく申請書に記載すれば、採択に近づきます。

(3)裏付け(エビデンス)を明示する

製造業の申請書によく「小ロット・短納期対応」と書いてあります。

それは小さな会社ではどこでもやっていることではないでしょうか。

そこで、お客様があなたの会社の小ロット・短納期対応における「何を」評価して、発注してくださるのかを明確にしましょう。

それがあなたの会社の「強み」です。

サービス業や小売業の老舗企業の場合には、「創業以来顧客第一主義を徹底し」と書いてあったりします。

でもこれだけでは、具体的なイメージはわきません。

「顧客第一主義」を「見える化」してください。

たとえば、

「商品の到着後365日以内であれば送料無料で返品を受け付けます。」

このように約束しえいたネット通販サイトがかつて本当にありました。

新製品の試作・開発で「今までにない」と決まり文句のように目にします。

本当に「ない」のでしょうか?

多くの場合、「リサーチ不足」か「マーケット不在」です。

「リサーチ不足」→検索すれば類似品・競合商品が見つかる→対比表等で優位性をPR

「マーケット不在」→審査員を納得させるのは至難→ターゲット顧客にアンケート調査等

もう一度、第三者的に読みなおしてみて、審査員の頭に「?」が浮かばないかチェックしましょう。

●実現可能性が高い事業2つのパターン

「やってみなくてはわからない」

というのが事業ですが、公的な補助金を出す側からすれば、支援した事業は成功して欲しいですから、なるべく成功確率が高そう名事業を選びます。

私が補助金で新規事業を支援してきた経験から

「社長や会社がマーケット(市場やターゲット)をよく知っている事業」

「社長や会社の強みをベースとした事業」

は成功確率が高い、つまり実現可能性の高い事業といえます。

あなたやあなたの会社がマーケット(市場やターゲット)をなぜよく知っているのかについて、客観的に納得できるように書く、

あなたやあなたの会社の強みが何で、それが取り組もうとする事業でどのように生かせるのか、客観的に納得できるように書く、

ということです。

私が補助金作成支援やそのセミナーを行う時、いつもお伝えすることが3つあります。

「わかりやすいこと」「魅力的であること」「説得力があること」です。

その上で、まず大事なのはコンセプトです。

コンセプトとは、「誰に」「何を」「どうするのか」です。

これで補助金申請書の骨子をまず固めます。

その上で、補助金のミッションと審査基準をよく理解し、それに応えるように申請書を作成します。

補助金の制度によって、新規性・革新性・優位性が強いことが必要な場合や、
実現可能性が高いことが重要な場合があり、それを制度概要や補助額、対象事業者から見極めます。

あまり人の補助金の書き方を学ぶことはこれまでなかったのですが、本書を通じて、自分の考えが整理でき、知識・経験のバージョンアップができたように思います。

【目次】

はじめに

第一章 失敗する補助金、成功する補助金

第二章 採択される補助金申請書の書き方

第三章 補助金を活用して成功するために注意すべきこと

おわりに

【今回の一冊】

◆タイトル:『採択される補助金申請書の書き方』

◆著者:強み経営コンサルティング有限会社 代表取締役 梅原 清宏

◆出版社:強み経営コンサルティング有限会社

◆ページ数:57ページ(紙の場合で推定)

◆2015.11.23

アマゾンでレビューを見る

【おすすめ度】(5段階) 

●総合 ☆☆☆☆☆

●読みやすさ ☆☆☆☆

 

【関連サイト】

強み経営コンサルティング

→筆者のホームページです。書籍の案内や、補助金申請書作成支援サービスの案内があります。

【編集後記】

筆者も言われているように、
補助金ありきで考える新規事業は失敗します。

理想は補助金など使わず、自己資金で
新規事業の芽を育てることだと思います。

一方で、新規事業の予算を通常の営業に
加えて余分に蓄えることはとても大変です。

1,000万円の補助金は、売上高営業利益率10%の
会社であれば、売上1億円の価値があります。

・もともと考えていた新規事業があり、たまたまそれに使える補助金が公募中だった。

・事業期間も、助成対象の経費項目も合っていて、事務負担も覚悟の上だ。

・補助金があろうとなかろうとこの事業は必ず実施する決意だ

このような場合が最もチャレンジするのにふさわしいのではないかと考えます。

 

本書の筆者である中小企業診断士の梅原先生に本記事をご紹介いただきました。

『採択される補助金申請書の書き方』が紹介されました

 

【目指せ200冊レビュー!】

今回で195冊目です。

【おわりに】

最後までお読みくださりありがとうございました。
今後とも引き続き、当ブログをよろしくお願い
いたします。   

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