看板メニューの作り方・メニューの設計手順『小さな飲食店売上を伸ばすメニューブックの作り方』
※2017.10加筆
【今回のテーマ】
飲食店のメニュー改善
【今回の一冊】
◆タイトル:『小さな飲食店売上を伸ばすメニューブックの作り方』
◆著者:タルイ タケシ・北原 尚史
◆出版社:株式会社翔泳社
◆ページ数:191
◆2010.3.3 第1刷初版
2013.2.5 第3刷発行
【こんな方にオススメ】(5段階)
●飲食店でメニューを改善したい ☆☆☆☆☆
●飲食店開業にあたり、メニューの作り方を学びたい ☆☆☆☆☆
【レビュー】
●メニューブック改善で期待できる5つの効果
1.スタッフに代わり、メニューブックにセールストークをさせること、売りたいものは、ページ面積の20%以上を使うことなどで客単価が上がる
2.粗利額の高い商品と低い商品をセットで販売するマージンミックス等を活用し、「原価率」でなく「粗利額」で考えることで粗利額が上がる
3.仕込み工数・調理工数の少ない商品にオーダーが集中するように配慮することでキッチン&ホールのオペレーションが効率化する
4.「初来店」の視点、「リピーター」の視点で工夫することにより、顧客満足度が上がる
5.お店へのあなたの想いを伝えられる
第一章で上記5点のことがメニューブックによって可能であると本書では述べられています。
小さな飲食店を支援させていただいていると、メニューに改善の余地があると感じることが多々あります。
本書は、上記のメリットを実現させるべく、価格設定や写真の撮り方なども含めた具体的な方法が豊富な事例とともに紹介されております。
飲食店のメニューを改善したいとお考えの方に特におすすめの一冊です。
(1)看板メニューの3つのメリットと7つの特徴
看板メニュー3つのメリット
1.お客様に認知されやすい
2.選択肢にあなたの店を入れてもらいやすくなる
3.「クチコミ」が発生しやすくなる
看板メニュー7つの特徴1.コンセプトに沿っている
2.想いがこもっている
3.ニーズがある
4.市場優位性がある
5.価格が適正
6.注文しやすい
7.美味しそう・美味しい本当に売れる看板メニューにするために注意すべきポイント
1.お客様が味を想像できるものであること
2.選択肢が多すぎるなど、食べ方が複雑すぎない
3.注文前に写真で目で確認できる
4.「とろける食感」「濃厚な香り」というように商品を食べたお客様にどんなメリットがあるか表現する
あるラーメン屋さんの話です。並列で並んでいた4つの味のラーメンについて、どれが看板メニューか考えていただきました。
塩ラーメンがうちの看板だと決められました。
そして、メニューを作り直されました。
すると、塩ラーメンが飛ぶように売れるようになりました。
おまけに写真についていた煮玉子オプションも注文が相次ぎました。
看板メニューをもっとPRしましょう。
看板メニューがないのであれば、これまでのメニュー別売上げランキングなどをもとに、育てましょう。
(2)メニューブックの設計手順
1.メニューを分類する
「塩でおいしい」「タレでおいしい」
「刺身に合う酒」「焼き鳥と一緒に」というように「お客様視点」でのカテゴリ分けを考える
人気商品を合わせたセットメニューのページを作る2.ブックレイアウトを考える
特等席は見開きページ3.ページ内レイアウトを考える
大きさでメリハリ
言葉によるメリハリ(キャッチコピー・キャプション)
あるカレー屋さんでは、チキン・海老など、具材はわかっても、
甘いのか辛いのか、さっぱりなのかこってりなのかがわかりませんでした。
忙しい時に、人が十分メニューを説明できないのであれば、
コミュニケーションツールとしてのメニューの重要性は非常に大きいです。
お客様が選びやすいように、必要な情報を盛り込みましょう。
(3)メニュー写真を自店で撮影
写真をプロのカメラマンに撮影してもらうと、1カット5,000円~数万円程度かかるのが当たり前。
メニューが30品あったら最低でも15万円程度かかる計算。最近はデジカメの性能が向上しており、素人でも綺麗な写真を撮ることが十分可能。
1.三脚で手ぶれを防ぐ2.フォトランプ
3.スケッチブックで光の角度や強さを調整
4.半透明のゴミ袋・アクリル板を挟むことで
やわらかな自然の光をつくる。
このようなツールで撮影セットを自作し、デジカメの設定、ちょっとした撮影の工夫をすることでプロの仕上がりに近づけられる。
料理は美味しいことよりも、まず美味しそうであることが重要です。
今は撮影キットもとてもお手軽に手に入ります。
写真撮影の講習や、一度プロに撮影していただき、自分で次回以降はするつもりで仕事ぶりをじっくり観察するのもいいですね。
●実際のメニュー事例に見る効果
焼き鳥屋さんの事例
1.表示で「常連の声」を紹介
2.「塩」「タレ」「わさび」「レモン」などをアイコンを効果的に使って分かりやすく美味しい食べ方を提案
これにより、「売り」の商品が分かりづらいという欠点を克服。
チェーン全体で1、2を争う利益率の店に。
本書は、巻頭付録でメニューのビフォーアフターがカラーの実例で紹介されており、違いが一目でわかります。
また、CD-ROMがついており、メニューブックのテンプレートと背景・パーツ・アイコンがついてあり、wordでメニューが作れるようになっているのも嬉しい特典です。
メニューの前に、お店のコンセプト・価格設定・看板メニュー作りをすることが大切です。
そのためには、現状の単品別の売上・粗利分析を行うことも大事です。
本書を参考にメニューブックを大きくリニューアルさせてはいかがでしょうか。
【目次】
巻頭付録 メニューブックビフォーアフター事例
第1章 メニューブックを変えてできること
第2章 コンセプトを見直そう
第3章 適正な価格を設定しよう
第4章 看板メニューを決めよう
第5章 メニューブックの設計図を作ろう
第6章 自分で撮影・印刷してみよう
第7章 実際のメニューブックを見て学ぼう
第8章 CD-ROMを使ってみよう
【今回の一冊】
◆タイトル:『小さな飲食店売上を伸ばすメニューブックの作り方』
◆著者:タルイ タケシ・北原 尚史
◆出版社:株式会社翔泳社
◆ページ数:191
◆2010.3.3 第1刷初版
2013.2.5 第3刷発行
【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆
【編集後記】
あるラーメン屋さんは、メニューを変えることで看板メニューが明確になり、売上構成も大きく
変わりました。
また、ある焼肉屋さんは、セットメニュー・ハーフサイズのメニューを入れることで業績が向上しました。
メニューの力はとても大切です。
お客様にとって、ウリがわかりやすく伝えられ、お店の利益がしっかり稼げて、業務も効率化して提供スピードもあげられる。
そんな理想のメニューに近づけるべく、改善し続けることが大切ですね。
メニューづくりも、料理同様、終わりはありません。
【目指せ200冊レビュー!】
今回で151冊目です。
この記事へのコメントはありません。