社員を大切にする経営

 

69期連続黒字の大量生産を捨てた会社

東海バネ工業株式会社に工場見学に行ってきました。
カンブリア宮殿で放送された会社です。
この放送分は録画して、5回は見ました(笑)
そんな時に、この工場見学の案内をいただき、千載一遇のチャンスと申込み、参加できました。

大量生産を捨て、手作りのバネ作りに特化。
ロット数は3~5個という多品種微量生産で69期連続黒字中のすごい会社です。

 

会社紹介ビデオ

事務所に入ると、渡辺社長とスタッフの方が前に立って笑顔で出迎えてくれました。
まずは十数分の紹介ビデオを見せていただきました。
エンディングに社員さん(おそらく全員)の顔写真が流れるシーンが印象的でした。
従業員、特に職人さんを大切にしている姿勢がここからも伝わってきました。

 

人件費は投資。渡辺社長の言葉

次は渡辺社長のお話でした。
「オーダーメード一筋」

「言い値で買ってもらえるバネ屋」

「他がしない、したがらないバネをやる」

「できませんと断らない」

「(手作りでコストダウンできないので、)人件費は投資やと考えた。」

「有形資産は使ったらなくなるが、無形資産はようさんある。なんぼでも大きくなる」

 

値引きをしない経営のきっかけ

入社してすぐ、とてもこの会社の経営を担うことはできないと考えていた渡辺社長は、ガス抜きにヨーロッパ視察に行きます。
そこで、値引きを要請されたら話はそこまでと言い切ったドイツのバネ職人、人がやりたがらない仕事こそ給料が高い。

デスクワークよりも現場を高く評価し処遇するフランスの会社に大きなヒントを得て帰国しました。

そこから言い値で買ってもらうこと、その価格に見合う価値のある製品を作ろうと決意し、これが今の東海バネの原点となったとのことでした。

 

圧倒的なIT投資

印象的だったお話は圧倒的なIT投資です。
システムを作れば終わりではなく、ITベンダーと30年間お付き合いし、毎月ITの会議を開くことで常に改良、進化し続けているとのことでした。
今や電話で相談を受けた時に、顧客の過去の購買履歴を確認し、その場で、納期が何日であれば対応できると即回答できる仕組みとなっています。

「検討させていただきます。」

といったん電話を切り、難しいと回答されるよりも、その場で

「あと1週間もらえれば対応可能です。」

と言われれば納得がいきます。

電話でその場で商談が決まれば、そのまま製造に指示が送られます。

5年前に一度買っただけの顧客情報についても、製品の形式知、暗黙知両方がわかり、どの職人でも作れるようになっているとのことでした。
渡辺社長曰く、「究極のシステム」とのことです。

 

工場見学

お話のあとは工場を見学させていただきました。
あのYU-KIという熱い材料を巻き上げる機械が実際に巻き上げている様子などを実際に見させていただきました。
夏場は40℃~50℃になる大変熱い環境です。
気温がわかるとさらに熱く感じるということで温度計は置いていないとのこと。

 

渡辺社長への質疑

工場見学後、最後に質問タイム。
たくさん質問がでて、一つ一つ渡辺社長は丁寧に回答されていました。

「町工場の工員で終わったらアカン。東海バネの職人になれ!そのための応援はできるかぎりする」

「それぞれの力を発揮させるにはどうすればいいか。日夜考えている」

「人はほったらかしにしたら伸びない。積極的にほめる、叱るなど関わる。」
「(工場見学オープン、写真撮影自由)見えている部分がわかってもマネできない。」
「合理化、省力化と中小製造業は大企業のマネに軸味を置きすぎているのではないか?早く、安く作るための設備を(うちは)入れたことがない。よりええもんを作るための設備はいれる。採算を計算したらとても入れられない設備を入れる。」
「毎日、毎月、毎年正念場。リスクと格闘している。」

「トップが迷ったら社員は動けん」

「先に従業員満足。社員の人生を犠牲にしての顧客満足はありえない。うちはサービス残業一切なし。定時帰り。有休は全部取る。会社のためではなく、自分のため、お母ちゃんや子どものために働け。」

 

おわりに

帰りもスタッフの方がみなさん立たれて、気持ちよく送り出していただきました。
実践されてきた方だけに、渡辺社長の言葉は一つ一つ心に深く響きました。
イメージしていた通り、すばらしい社長、会社でした。
大量生産を捨て、合理化、省力化を行わず、標準化は「誰でもできる化、どこでもできる化、東南アジアでも、アフリカでもできる化」
と、そのさきに日本の製造業の発展はないと考え、ひたすら手作りの、東海バネでないとできないバネ作り、大量生産しているメーカーがいやがるような微量生産に特化し、それでも採算がとれる仕組みをすばらしいITとともに実現されています。
マネジメントでは顧客満足よりも、まず従業員満足という考えに確信を持ち、全員がすばらしい職人になってほしいという社長の思いは、技能検定や個別面談、有休取得定時帰りという働き方に具体化されております。
渡辺社長の生のお話が聞けて、感無量でした。
このようなすばらしい会社作りのお手伝いをしていきたいという思いを新たにしました。

丹波経営研究会