お金
2017.9.18加筆
2014.3.10作成
 【感謝】
読者のみなさまへ
いつもありがとうございます。まだ雪が散らついており、寒い日々です。
昨日、梅の花を見かけました。
春はもうすぐそこですね。
【今回のテーマ】
創業・起業
【今回の一冊】
◆タイトル:『公的創業融資を確実に引き出す本』
◆著者:引地 修一
◆出版社:TAC出版
◆ページ数:218
◆2008.12.20 第1刷 初版
 2012.09.10 第4刷 初版

【こんな方にオススメ】(5段階)

●創業融資の事業計画書の書き方を学びたい ☆☆☆☆☆
●事業計画書の売上計画の立て方を学びたい ☆☆☆☆
●借りるための基礎を学びたい ☆☆☆☆
●既業者が融資を得るために必要なことを学びたい ☆☆☆
●債務者区分・格付けについて知りたい ☆☆☆

【レビュー】

●創業計画書の審査ポイントとは?

これから融資を受けようとする人が最初に通り抜けなければならない関門が「事業計画書(創業計画書)の作成」です。
特に創業者については、まだ実績がなく、唯一あるものといえば今後の事業の計画の見通しだけであるため、金融機関からみれば「創業計画書」は最も重要な貸し出しの根拠であるとともに、担保の代わりともなるべきものです。
文章の書き方の上手下手はともかくも「金融機関は事業計画書に何を求めているのか?(つまりは融資審査のポイント)」を知っておく必要があります。
金融機関の融資審査は、主に次の2点を中心に行われます。
・「経営能力」の有無
・「事業計画」の妥当性
4つのポイント。
(1)事業に必要な経営能力があるか?
(2)本当に売上げが立てられる計画となっているのか?
(3)キチンと返済ができる計画となっているか?
(4)数字は根拠を持って作られているか?
創業セミナーや創業計画書の作成支援も業務として行うことがあります。
筆者は、東京都内の信用金庫で勤務した後、行政書士事務所を開設。「資金調達」と「集客」に関するコンサルティングをされております。
実際に融資を引き出した実例の事業計画書例までついており、金融機関向け事業計画書を作成するのであれば、まず、この一冊とおすすめできる書籍です。
また、創業者のみならず、経営者・後継者資金繰り担当者は知っておくべきことが良く整理されています。
創業時は事業計画書が貸し出しの「根拠」であり、「担保」になります。
土地・建物等物的な担保の有無以上に、本当にその事業で必要なキャッシュを稼げるかがますます問われるようになっております。
本書を読み、日本政策金融公庫・信用保証協会金融機関が知りたいツボをおさえた事業計画書を作れるようになってはいかがでしょうか。

(1)正常な運転資金の計算方法

「正常な運転資金」とは何かということになるのですが、金融検査マニュアルではこれを「正常な営業を行っていく
上で恒常的に必要と認められる運転資金」と定義しています。
ちょっとわかりにくい内容ですが、これを式で表すと次のようになります。
売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産-仕入債務(買掛金+支払手形)
つまり、この正常な運転資金とはわかりやすくいえば、
「会社が営業をする上で常に抱える立替金」
のことを意味します。
そして、運転資金として融資された資金は、売上代金の回収により返済されることが見込まれますので、事業計画書の作成にあたっては、
1.必要額がこの計算式の範囲を超えたものでないこと
2.いつ代金が回収できるのかが明確であること
の2点がポイントになります。
創業時の運転資金の申込額としては、通常、1~2ヶ月分程度が妥当な規模であり、多くても3ヶ月分までというのが目安になります。
運転資金と設備資金の違いはきちんと抑えておきたいですね。
手元のお金がなくなり、仕入代金、家賃、給料、借入返済などが不可能になった時、そのお店はつぶれます。
儲かったかどうかの損益計画も大切ですが、それ以上に、お金が足りているのかどうかの資金ぐり計画、資金ぐり表も極めて重要です。

(2)税務署向け・銀行提出向け決算書

決算書はその用途に応じて2種類。
一つが「税務署向け決算書」であり、もう一つが「銀行提出向け決算書」です。
これはその提出先に応じて別々の種類の決算書が作成されるということではなく、どちらにウエイトを置いて作られているかという内容による区別です。
通常は、節税目的で税務署向けの決算書が作られることが多いようですが、節税目的で作ったものは、十分な利益が確保されていないことや、融資を受けることを想定した対策が行われていないため、融資の際の金融機関の審査に耐えられません。
かといってむやみに利益を増やせば今度は納税が心配になるという具合に中小企業の経営者にとっては頭の痛い問題です。
しかし、本来、このどちらのバランスにも配慮した決算書を作ることは可能なわけですが、当事者である経営者や依頼している税理士にその知識がないと一般的には税理士向けの内容となってしまいます。
そのため理想的な決算書の作成のためには、税理士の税務知識と銀行融資対策に長じたコンサルタントの共同作業により、これを作り上げていく必要があります。
とても重要なテーマです。
ある社長は、税理士さんが決算書を完成させるまで、その1年が赤字か黒字かわからず、毎年ハラハラされていました。
赤字は税金を払わなくて良い反面、金融機関の評価は厳しくなります。
それは、お金を貸してくれなかったり、借入金利が上がることにつながります。
税務署・銀行、それぞれのニーズを理解した決算書作成を支援してもらえると理想的です。
会計期間を終了して2ヶ月後、個人であれば12月を終了して、確定申告の2~3月になったら節税や利益を上げたくても、翌期になっており、ほとんど何もできません。
決算書作成時点では結果は変えられないんですね。
だから1~12月の個人事業主であれば、9月くらいには決算予測を行い、残り10~12月で必要な経営努力をするのが正解です。

(3)売上計画を信じさせるためのテクニック

商売は、単に仕入れた品物を並べておくだけで勝手に売れていくほど簡単なものではありません。
実際の事業として成り立たせるためには、最低限以上の売上が必要であり、そしてそれを達成するためには
「買ってもらうための仕組み」
が必要となります。
この仕組みは、見込み客(ターゲット)に対する適切なアプローチであったり、集客に向けたチラシの配布や広告で
あったり、またはセールの開催であったりします。
このような売るための仕組みをひっくるめて「販売促進計画」といいますが、この仕組みがあってこそ初めてモノが売れるのであって、これを無視した事業計画はすでにその段階で現実性のない絵空事になってしまいます。
売上計画を作るには一般に次の手順で計画を立てていきます。
1.自社の商圏の把握(商圏調査)
2.ターゲット(人口・エリア)の設定
3.販売促進(アプローチ)方法の決定
ビジネスプランの審査や添削を行う時に、この販売促進計画が不十分なことが多いです。
創業であれば、そのお店ができたこと、商品・サービスの提供がはじまったことをまず知ってもらう必要があります。
その上で、興味を持ってもらい、来店してもらわなければ売上は発生しません。
営業活動の中で、極めて重要な要素です。

●リースの利用について

リースの利用には、
・月額あたりの経費が少なくて済む
・メンテナンスの料金が別途に不要
・費用を経費に算入できる
などのメリットがあるため、資金の少ない開業時には有効な資金調達の手段の一つと
なっています。
ただし、利用にあたっては、以下の点に注意が必要です。
・リース契約期間中は原則として中途解約ができない。
・新製品が発売されたときに切り替えがしにくい(またはできない)場合がある
・リース期間中は所有権が自分のものにならないので、担保に入れられない
・一般的にリースの金利は高めに設定されていることが多い。
具体的で実践的。という印象が強い書籍でした。
・日本政策金融公庫と制度融資の比較
・創業融資以外の融資のポイント
・「創業計画書」の項目別ポイント
・売上計画マップ
・月次収支予算表
・自己資金クリアの仕方
・金融機関の決算書チェックポイント
・金融機関格付けを知る
・既業者の事業計画書作成のポイント
・融資申請、面談のNG集
・融資のためのQ&A
など、役立つ内容が本当に満載です。
金融機関への提案力をUPされ、円滑な資金繰り管理を実現させましょう。

【目次】

第1章 日本政策金融公庫と制度融資(信用保証協会付き融資)の違い
第2章 まずはここから!事業計画書を作るための基礎知識
第3章 あなたの会社の借りられない体質を変える!
融資成功の4ステップ作戦
第4章 実例だから説得力が違う。これが600万円(満額)を
引き出した計画書だ!
第5章 この作業があと2割の上乗せを可能にする。
「超現実的売上げ計画とテーマの作り方」
第6章 「融資申請でのNG集」&「面談レクチャー」
第7章 担当者から聞き取った生の情報を直送!
日本政策金融公庫・制度融資、成功のためのQ&A
第8章 資金調達担当者必見!
「金融検査マニュアルのウラワザ的読み方」
【今回の一冊】
◆タイトル:『公的創業融資を確実に引き出す本』
◆著者:引地 修一
◆出版社:TAC出版
◆ページ数:218
◆2008.12.20 第1刷 初版
 2012.09.10 第4刷 初版
【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆
【関連書籍のレビュー】
●2つの経営者の仕事
(1)儲かっているのに資金が足りなくなる理由
(2)あなたの会社も5段階査定されている
(3)返せる額は「減価償却費+税引き後当期利益」だけ
●銀行員が聞きたい企業概況
【編集後記】
つい先日も創業セミナーをさせていただきました。
これから夢に向かってチャレンジしたい人を応援するのはとても楽しいです。
成功確率を少しでも上げられるよう、サポートしていきます。
【目指せ200冊レビュー!】
今回で148冊目です。
丹波経営研究会