焼肉店経営

2015.8.23公開
2017.3.15加筆 
【今回のテーマ】
飲食店の数値
【今回の一冊】
◆タイトル:『焼肉屋は食べ放題なのになぜ儲かるのか?』
◆著者:小倉優子 五十嵐明彦(公認会計士)
◆出版社:インデックス・コミュニケーションズ
◆ページ数:188

【こんな方にオススメ】(5段階)

●販促策と数値のつながりを理解したい ☆☆☆☆☆
●飲食店の損益計算書をつかみたい ☆☆☆☆
●苦手な数値を克服したい飲食店経営者 ☆☆☆☆

【レビュー】

●「割引」と「サービス」を会計で考える

「上カルビ1皿無料」
上カルビを1人前1250円、その原価が500円だとします。
この上カルビを無料にしてお客様に提供すると、お店がサービスする金額は増えた原価分ですから5,000円の10%割引と同じように500円となります。
ところが、お客様は、1250円得した気分になる!
10%割引のほうは500円しか得したと思っていないのに、同じ500円のサービスでもずいぶん違う気がしませんか?
だから、お客様にサービスするなら、おまけをつけてあげるほうが割引よりもお得感が大きいんです。
本書は全体を通じて粗利益に着目しています。
その中で、数ある販促策や食べ放題、飲み放題といったことを数値の視点で、カラクリを解説してくれています。
業績が難しい飲食店の共通点として、”丼勘定で経営者が数値が苦手”ということがあるように感じることがよくあります。
逆に、業績の良い会社は数値管理をきっちりしています。
単価に対して、原価がいくらで、どれがいくつ売れているかきっちりとつかんだ上で経営されています。
「割引」「クーポン」「ポイントカード」「無料サービス」と販促策は色々ありますが、それが業績に、利益にどう影響するかを
理解した上で実行することはとても大切だと思います。

(1)ハンバーガー屋のセットメニューのカラクリ

ハンバーガー屋で480円のハンバーガー、ジュース、ポテトのセットがあったとします。
単品で定価で買ったら570円とすると、90円損をしているように思えます。
一般的にハンバーガーの原価は1個あたり40円、フライドポテトは15円、炭酸系飲料は10円程度と言われています。
ハンバーガーの売価を1個あたり120円、フライドポテトは250円、炭酸系飲料は200円程度とすると、ハンバーガーの利益は1個80円、フライドポテトは235円、ドリンクは190円とポテトが圧倒的に儲かるのです。
つまり、ハンバーガーだけ買うお客さんばかりだとハンバーガー屋は儲からないしくみになっているいうことです。
だから、お店はセットメニューを勧めるのです。
このように、何が利益の源泉なのかをよく考える必要があります。
あなたのお店のメニューの単価と原価は把握されていますか。
セットメニューにはこのようにセットメニューにする理由が背景にあります。
お客様からみてお得かつ魅力的で、お店としても儲かるセットメニューをつくれれば良いですね。

(2)居酒屋がランチをする理由

<ランチは在庫を活用できる>
●在庫は汚れる・壊れる・腐るといったリスクがある
●売れなければ資金繰りが苦しくなる在庫はお金を寝かしていることと同じ
●保管するための倉庫料や保険料などがかかるこのような理由から在庫は悪だと言われています。
いかにロスを減らすかということが大切なのです。
そこで、食材の有効利用をするために、ランチでうまく夜の食材を活かしているという理由もあります。
<広告宣伝>
ランチを食べに行くと、その店の味がわかります。
ランチを食べた店がおいしいと、今度は夜行ってみようと思いますね。
ランチの時間に夜のメニューが置いてあったり、日本酒や焼酎の宣伝がしてあるお店もありますね。
あるお店は刺し身や寿司の物販と飲食を行っています。
生で売れなかったものは煮物等にして惣菜として販売することでほぼロスゼロを実現しています。
あるお店はランチ営業のみを行っていましたが、なかなか利益が上がらない体質でした。
そこで、夜の立ち飲みをはじめることで業績が大幅に改善しました。
個人で経営しているような店であれば昼も夜も営業するのは体力的にかなりキツイですが、業績改善が課題であれば検討する価値があります。
ランチ・ディナー、それぞれの経営における役割をよく考えてみましょう。

(3)焼肉屋は食べ放題なのになぜ儲かるのか?

飲食店の原価率は30%くらいという話をしましたが、食べ放題にするとやはり原価率は高くなります。
一般的に食べ放題は原価率が40~50%くらいになります。
それでも食べ放題のお店が繁盛する理由は、利益を生み出す構造が変化するからです。
食べ放題だと一生懸命食べますよね。一生懸命食べた結果、元が取れたと思ってもらえる価格設定にすればいいのです。
バイキングは粗利益率ではなく、粗利益額で勝負しているケースがあるのです。
粗利率、粗利額どちらかに偏った価格の考え方はあらためた方が良さそうですね。
当然のことながら、顧客から見て、どう感じるかという顧客視点も重要です。

●なぜ、飲み放題が好まれるのか?

飲んだ量によって会計が変わってしまうと困るから、幹事さんは飲み放題にしたくなるんです。
お店は、飲み放題でお客さんが元が取れる分を「料理をコースにしてもらうことによるメリットで」穴埋めします。
コース料理の利点
・同じものを同時に大量に調理できる(人件費削減)
・事前に予約があれば、準備をすることができる(人件費削減)
・あらかじめ料理が決まっているので材料のロスが少ない(原価率低減)
・原価率の安いもので構成することができる(粗利益アップ)
飲み放題、コース料理、その理由・意味をよく理解することが大切ですね。
この他に、「いくら売り上げれば損をしないか」の損益分岐点売上高の話や、新規出店時の初期投資回収の考え方なども紹介されております。
損益計算書の構造を理解し、メニューや価格設定、食べ放題・飲み放題、販売促進とのつながりをつかんだ上で、儲かるお店にするためのヒントがわかりやすく解説されています。
<補足>
宴会も含め、”完全予約制”にしているお店もあります。
完全予約制のメリットは無駄なく仕入ができる点にあります。
あるフレンチレストランでは、「いかに予約客の割合を高めるか」にオーナーがこだわっておられました。

【目次】

はじめに
第1章 「割引」と「無料」はどちらが得か?
第2章 「割引」と「ポイント還元」はどちらが得か?
第3章 セットメニューのトリックの謎をを解け
第4章 カード払いでクーポン券が使えないわけ
第5章 なぜ居酒屋はランチをやるのか?
第6章 焼肉屋は食べ放題なのになぜ儲かるのか?
第7章 飲み放題ができるわけ
第8章 そば屋がビルを建てられる理由
第9章 新規出店、どう決める?
第10章 他店舗展開 する? しない?
【今回の一冊】
◆タイトル:『焼肉屋は食べ放題なのになぜ儲かるのか?』
◆著者:小倉優子 五十嵐明彦(公認会計士)
◆出版社:インデックス・コミュニケーションズ
◆ページ数:188

【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆
【関連書籍のレビュー】
数字に強くなりたい飲食店経営者へ『ランチは儲からない飲み放題は儲かる』
●ランチは儲からない
(1)「理想の店」は趣味で
(2)独立したい人への質問
(3)2時間飲み放題はお店がトクをする
●「お一人様」のお客さん大歓迎!
【関連リンク】
【まとめ】儲かる飲食店になるためのおすすめ本12選
■飲食店開業前の心構え
■創業計画を立てる上での順序例
■社員満足経営こそ顧客満足・感動の礎
■飲食店の経営戦略
■コンセプトからメニュー作り
■サービス力を高める
■販売促進・集客
■ホームページ・Facebook・Twitter等のネット活用
■飲食店の数値計画を考える
■創業計画書を作成する
■業態別飲食店経営を学ぶ
■飲食店経営を物語で学ぶ
■小さなお店のブランディングを考える
■経営者自身を磨き続ける
【編集後記】
こんなブログを書いているからというわけではないですが、最近、飲食店の経営相談が増えてきております。
小さな飲食店の知恵袋としてお役立ちできるように日々勉強です。
【目指せ200冊レビュー!】
今回で129冊目です。
丹波経営研究会