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【今回のテーマ】

補助金申請書の書き方

【今回の一冊】

◆タイトル:『自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」小さな会社の経営計画』

◆著者:強み経営コンサルティング有限会社 代表取締役 梅原 清宏

◆出版社:強み経営コンサルティング有限会社

◆ページ数:60ページ(紙の場合で推定)

◆2015.12.20

【こんな方にオススメ】(5段階)

●小規模事業者持続化補助金の申請を考えている ☆☆☆☆☆

●商工会・商工会議所職員・税理士・社会保険労務士等事業計画が必要な補助金申請の支援者 ☆☆☆☆

【レビュー】

●経営計画をつくる2つのメリットと採択事業者が感じた5つの効果

経営計画とは経営についてあなたが日頃考えていることを文章化したものです。

<経営計画をつくる2つのメリット>

1.経営計画をつくることで、あなたの考えがより深まり、明確になり、鋭くなります。

2.また、経営計画は、あなたばビジネスで関わっている方々、従業員や銀行にあなたの考えを伝えるツールになります。

 

小規模事業者持続化補助金に採択された5,255社に経営計画作成の効果を尋ねた結果は次の通りです。

・他の補助金の活用にも関心を持った(52%)

・自社の強み・弱みが明らかになった(51%)

・新たな事業を企画できた(50%)

・事業の見直しを行うきっかけとなった(43%)

・自社の事業に優先順位をつけられた(31%)

 

「自社の強みや弱みがわからない」

「新たな事業を企画したい」

「何から手を付けてよいかわからない」

というような悩みがあれば、本書で説明する
1ページ程度の簡易な経営計画であっても、
これらの悩みを解决できる可能性が大いにあります。

補助金申請書の作成支援、添削、採択後のフォローも仕事の1つとして取り組んでいるのですが、

補助金の目に見える効果はお金ですが、上記でご紹介したように経営計画を作成することで得られるメリットはとても大きいと感じます。

日本人は国民性からなのか、弱みや課題はいくらでも話せても、強みとなると謙遜もあり、なかなか言葉で伝えられないようによく感じます。

小規模事業者持続化補助金の経営計画を作成する過程で商工会・商工会議所の職員さんに申請書を読んでもらいアドバイスを受けることで得られる気付きはとても多いと思います。

また、経営計画書の作成は、忙しい現場から離れて、少し先の未来を考える時間を持つことでもあります。

「本当は大事だ。しなければならない。」とわかっていながら、目の前の仕事に追われ、何年も実行できていないと言われる不振企業の経営者は多くおられます。

補助金に採択されると、その先延ばしにずっとしてきたことに期限がつきます。やらざるをえない緊急の課題になります。

小規模事業者持続化補助金は記入例もあるとても親切な補助金です。しかし、記入例は誰もが読んで参考にしています。

本書でもう一歩踏み込んだ経営の現状分析、各項目の書き方のポイントを身につけて、申請書に他社と差をつけられてはいかがでしょうか。

 

(1)国が考えている小さな会社が経営計画を作成する意味とは?

2014年6月に「小規模企業振興基本法」(小規模基本法)が成立しました。

この中で、「顧客のニーズに応じた財・サービスの提供」が小さな会社の役割であり、

「顔の見える信頼関係」という小さな会社の「強み」をより積極的に活用して、

潜在的な需要を掘り起こすためにビジネスモデルを再構築する必要があると分析しています。

それは、

1.顧客のニーズに応じた財・サービスを提供できているか。

2.需要が変化したり減少したりしていないか。

3.潜在的な需要を掘り起こすためにビジネスモデルをどのように再構築したらよいか。

の3つです。

ビジネスモデルとは

「だれに(顧客)、何を(製品・サービス)、どのように(提供方法、価格、販路、広告宣伝)」

というビジネスのあり方のことです。

この3点を考えるために「経営計画」の作成が重要であると国は考えています。

小規模基本法では、小規模事業者の「持続的な発展」を促すこととされています。

「持続化補助金」はそれを具体化する取り組みのひとつです。

その恩恵を受ける前提が「経営計画」になります。

これまでは、小さな会社の多くが経営計画なしで経営してこられました。

しかし、二年度にわたり実施された「持続化補助金」により、多くの小さな会社が経営計画をつくりました。

これにより、経営者自らが経営計画をつくった経験があるかないかが、今後は大きな差となって現れてくることが予想されます。

「なくて当たり前」だった経営計画が「あって当たり前」になっていくことでしょう。

(2)エピソードに学ぶ現在地を確認し、向かう方向を確信・共有する重要性

それはスイスでの軍事機動演習のときに起こった。

ハンガリー軍の小隊の若い中尉は、アルプス山脈で偵察隊を凍てつく荒野へ送りだした。

その直後に雪が降り始めた。

降雪は2日間続いた。

その間、偵察隊は戻ってこなかった。

中尉は、部下を死地に追いやったのではないかと思い悩んだ。

しかし3日目にはその部隊は戻ってきた。

彼らはどこにいっていたのか?

どうやって道をみつけたのだろうか。

彼らがいうには、

「われわれは迷ったとわかって、もうこれで終わりかと思いました。そのとき隊員の一人がポケットに地図を見つけました。おかげで冷静になれました。われわれは野営し、吹雪をやり過ごしました。それからその地図で帰り道を見つけ出しました。それでここに着いたわけです。」

中尉は、この命の恩人となった地図を手にとりじっくりとながめた。

驚いたことに、その地図はアルプスの地図ではなく、ピレネーの地図であった。

(出所:カール・E・ワイク『センスメーキングイン オーガニゼーションズ』)

 

この本の著者のメイクは、エピソードを紹介した後、

たとえ間違った地図であっても、それにより自分がどこにいて、どこにいきつつあるかについてイメージを持つことができたので、それが幸運な生還につながったと説明しています。

経営計画もこの地図のように、自分たちがどこにいて、どこにいきつつあるかを確信して行動すれば、幸運な結果が実現する可能性が高まるということです。

 

(3)「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方は過去・現在・未来と時系列で考える

【過去】

これまでは市場はどのような状況で、顧客のニーズはどのようなもので、それに対してあなたの会社はどのような製品・サービスで対応してきましたか?

【現在】

現状の市場は以前の市場と同じですか?

何か変化がありますか?

今のお客様のニーズは何ですか?

ニーズには変化がありますか?

その変化に対して、あなたの会社はどのような製品・サービスで対応していますか?

【未来】

これから市場はどのような状況になると思いますか?

それに対応して、お客様のニーズはどのように変化すると予想しますか?

それに対して、あなたの会社はどのような製品・サービスで対応していきますか?

 

「顧客」「お客様」にはあなたの製品・サービスを購入したことがある既存顧客とターゲット顧客ではあるが購入経験がない潜在顧客があります。

【過去】【現在】は既存顧客をイメージして書きますが、【現在】については潜在顧客のニーズも考えておきましょう。

潜在顧客はなぜ今まで一度も利用されていないのでしょうか?

【未来】については、既存のお客様をどのように維持していくのかと、潜在顧客をどのようにして新規顧客にしていくのかという課題があります。

この課題を達成するための方策は「4.経営方針・目標と今後のプラン」に書きます。

記載内容はできるだけ数字で裏付けしてください。

「増えている」ではなく「○%増えている」というイメージです。

売上の内訳リストで過去と現在を比較すると、需要の変化や減少の証拠として説得力があります。

 

●経営計画の活用 ~まず伝えるべき4つの対象~

経営計画はそれを活用しないと意味がありません。

1.従業員

その内容を従業員に発表して、あなたがどのような経営方針で何を目標にこれから経営するのかを従業員と共有しましょう。

経営者と従業員とのコミュニケーションギャップや意識のずれで悩んでいる経営者の方が多いですが、経営計画はあなたの考えを従業員に伝えるツールとして最適です。

従業員との時間がとれるのであれば、従業員と一緒に経営計画を検討するとモチベーションアップに効果があります。

2.経営者仲間

経営について誰かに相談する際も、経営計画がある方がより的確な意見がもらえます。経営者仲間に意見を求めましょう。

3.顧問税理士

顧問税理士がいらっしゃるのであれば、税理士の先生にも見せましょう。

4.金融機関

銀行員の方から、数字の根拠を聞かれたとしても、経営方針・目標と今後のプランがしっかり考えられたものであれば、実現可能性が高いと評価いただけるでしょう。

 

わたしは「強みを伸ばして一番をめざす経営」を「強み経営」と名付けています。

そのスタートが「強み経営計画」です。

「世界一」や「日本一」をいきなり目指さなくても、まずは「この町一番」でもいいのです。

あなたの経営計画にも「何」で一番になるかを買いてください。

「強み経営計画」を実践して一番をめざしましょう。

 

伸びる会社は「経営計画発表会」をホテル等、自社ではない場所を借りて開催して、
現場を離れて未来への方針を語り、ざっくばらんに意見交換する場を毎年つくられている
ケースが多いように感じます。

家族経営や、事業者が自分1人といった小規模事業者であれば、経営計画は簡単・シンプルで良いと思います。

そういった経営者はプレイングマネージャーでとても忙しくされているので紙1枚くらいにやるべきことを整理して、目にするところに貼っておくのがおすすめです。

あまり欲張らず、現場の仕事以外でやるべきことは3つ以内にしぼり、しかも優先順位を付けておくことがいいです。

これは私が1人事業者として経営計画を試行錯誤し続けて、現在実践しているスタイルです。

簡単な経営計画ですが、経営者仲間に毎月見てもらいながら話を聞いてもらうことで、向こうもアドバイスがしやすくなり、新たな気付きを得られることも多いです。

筆者の言われるように、はじめは「補助金がほしい」と経営計画を作成しても、その後は「経営計画がないと気持ち悪い、不安になる」と思うくらい、経営計画の活用が事業活動の習慣になれば、明るい将来につながるのではないかと私は思います。

何もせずに目の前の仕事だけに取り組んでいても、なかなか光は見えないと、経営支援をしていてよく感じます。

 

【目次】

はじめに

第一章 失敗する補助金、成功する補助金

第二章 採択される補助金申請書の書き方

第三章 補助金を活用して成功するために注意すべきこと

おわりに

 

【今回の一冊】

◆タイトル:『自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」小さな会社の経営計画』

◆著者:強み経営コンサルティング有限会社 代表取締役 梅原 清宏

◆出版社:強み経営コンサルティング有限会社

◆ページ数:60ページ(紙の場合で推定)

◆2015.12.20

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【おすすめ度】(5段階) 

●総合 ☆☆☆☆

●読みやすさ ☆☆☆☆

 

【関連書籍のレビュー】

『採択される補助金申請書の書き方』

小さな会社が補助金に採択されるコツ『採択される補助金申請書の書き方』

→強み経営シリーズ第一弾です。
 本書の前にこちらを読まれることを
 おすすめいたします。

●日常的な仕事を新たな視点で見直す

(1)多くの補助金に共通する6つの審査基準

(2)補助金のミッションから読み取れることとは?

(3)裏付け(エビデンス)を明示する

●実現可能性が高い事業2つのパターン

 

【関連ブログ】

ものづくり・持続化補助金採択事業者の事例発表~補助金申請攻略セミナーin摂津市商工会~

ものづくり・持続化補助金採択事業者の事例発表~補助金申請攻略セミナーin摂津市商工会~

→実際に小規模事業者持続化補助金に採択された方の事例発表の要点を紹介しています。

採択事業者の生の声が聞けるセミナーに

おおさか地域創造ファンド・ものづくり補助金に採択されて(三島金型株式会社様)

小規模事業者持続化補助金に採択されて(アトリエSORA様)

2事業者の発表を終えて感じたこと

岩橋がお話した補助金申請書攻略法

補助金ありきではなく、まず自社分析と経営計画

おわりに~感謝~

 

【関連サイト】

強み経営コンサルティング

 

【編集後記】

補助金を補助金で受け取るだけで終わらせない。

これが優れた経営者の共通点だと思います。

優れた経営者は次の経営ステージに昇る階段の
1つというくらいの位置づけにされています。

 

【目指せ200冊レビュー!】

今回で197冊目です。

 

【過去の書籍紹介はこちらのブログに書いていました】

中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー

 

【おわりに】

最後までお読みくださりありがとうございました。
今後とも引き続き、当ブログをよろしくお願い
いたします。