【こんな方にオススメ】(5段階)
●採用に困っている中小企業 ☆☆☆☆☆
●採用から定着までのプロセスを見直したい ☆☆☆☆
●パート・アルバイトの基本認識を考えたい ☆☆☆☆

 

【今回のテーマ】
パート・アルバイトの採用・定着

【今回の一冊】
◆タイトル:『パート・アルバイトの活かし方・育て方』
◆著者:株式会社アイデム 人と仕事研究所所長 平田 未緒
◆出版社:PHPビジネス新書
◆ページ数:257
◆2009.12.4 初版

【レビュー】

●「相思相愛マネジメント」とは

パート・アルバイトは、
「人件費が安いから」
「雇用調整がしやすいから」
「正社員より簡単に、その場しのぎ感覚で採用できるから」
といった理由で、漫然と雇用されることの多い労働力です。
しかし、それでは他社に勝ち、この不況を乗り越えることはできません。

本書では、パート・アルバイトを企業業績に資する戦力の一つと明確に位置付けて活用し、戦力化していくことを提唱しています。

パート・アルバイトであっても、
「意欲・能力が高い人を選び」
「その人にできるだけ長く働いてもらい」
「自社の業績向上のためにいかんなくその力を発揮してもらう」

ことを目指して、より戦略的に、雇用し活用していくという提案です。

「相思相愛マネジメント」は、私の思いを込めた造語です。特色は3つあります。

コミュニケーションを高める行為であること
・パート・アルバイトが働き始めてからではなく、採用のはるか前、募集選考の時からはじまること
・パート・アルバイト活用に成功している企業の、成功事例に基づいたノウハウであること

本書は、アイデムでパート・アルバイト採用支援の最前線におられる筆者による人財採用のポイントを10のプロセスでわかるやすく説明されています。

「すぐにやめてしまう」
「職場の人間関係がギクシャクしている」
「なかなか戦力になってくれない」

上記のようなことでお悩みの方、本書を通じて採用のステップを1つ1つ検証されてはいかがでしょうか。

(1)なぜパート・アルバイトが安価な労働力なのか?

「パート・アルバイトなのだから、賃金が安くて当然」

ではありません。安いのは、

「正社員とは働き方が違うから」

です。

例えばパート・アルバイトは「週三日勤務」「1日五時間勤務」など、本人の希望をある程度かなえながらの勤務が可能な働き方です。
また、転居を伴う転勤や、本人の望まない異動もないことが普通です。
つまり、正社員に比べ、拘束度が高くありません。
また、実際に担当する仕事の内容や責任も、ある程度限定的です。
しかし一方で、働き方が違うとはいえ、パート・アルバイトも同じ会社のスタッフであることに変わりありません。
同じ組織の一員としてしっかり能力を発揮し、「パート・アルバイトとしての仕事」を全うすることを、はっきり要求していくことが必要です。
ちなみに「相思相愛」とは、パート・アルバイトとして働きたい人と、パートアルバイトの力を自社に活かしたい企業が、お互いを心から必要とし合う状態です。
こうした関係を作ることが、相思相愛マネジメントの主眼です。

(2)パート・アルバイトが初日で辞める理由

採用の通知を受けた応募者は、うれしさと同時に、これから始まる新たな仕事や人間関係に、不安を抱いているのも確かです。
「不安な気持ち」を解消しつつ、
「採用されてうれしい」「これから新たな職場で頑張るぞ」
という前向きな気持ちを、より大きくふくらませ、持続させる。

これが、パート・アルバイトを戦力化する入社時点でのポイントです。
初日や数日で来なくなってしまう理由は、「思っていた職場や仕事と違ったから」です。

もちろん「違った」内容はいろいろです。
例えば、
「思ったよりきつい仕事だった」
「職場の雰囲気が自分に合わなかった」
「仕事をきちんと教えてくれなかった」
「自分の居場所がなかった」
「なんとなく怪しげな雰囲気だった」
「雇用契約を結ばない」
「まだ仕事が終わっていないのに、タイムカードを打刻させられた。」

といった具合です。要するに、

「うれしい気持ち」と「不安な気持ち」の
両方を携えて入社したものの、入ってみたら、「不安な気持ち」が増幅される結果になった、ということです。

(3)教育でやる気を高め、マンネリ化を防止する

教育は、仕事の効率化や働く満足、仕事のマンネリ化防止に役立ちます。
特にマンネリ化はやる気を削ぎ、作業効率を下げます。
それどころか、パート・アルバイトの転職要因ともなります。
逆に、マンネリ化せず、
「仕事を通じて成長している」
実感のある間は、簡単に「辞めよう」とは思いません。そうした実感は、教育によってスキルアップしたり、違う仕事にチャレンジしたりすることで得られるものなのです。
教育は、知識と技能の両面から行います。
「知って」いて、なおかつ「できる」ようにすることが、教育では大事です。
面倒でも、その両方を確実にしていくことが、パート・アルバイト戦力化の早道なのです。

●上手な注意の仕方、褒め方

教育において、注意をすることは重要かつ不可欠です。
しかし、その言い方には、気配りが必要です。
特にパート・アルバイトは、心配りに欠けたちょっとした一言で、傷ついたり、やる気を失ったり、落ち込んでしまったりしがちです。

<上手な注意の仕方>
・1回に1つのことをその場で注意
  過去を蒸し返したり、あれこれ一度に言わない
・強く叱る場合は他の人のいないところで行う
・「あなた」がいけないのではなく「そのこと」がいけないのだと伝えること
・なぜ注意するのか、一つひとつ理由をあげて、かみ砕いて説明する
・教えていないことは注意しない
・注意して改善されたら、必ず褒める

<上手な褒め方>
・事実に基づいて、具体的に、細かく褒める
他者からの褒め言葉はぜひ伝える。

一部ご紹介したように、各項目についてとても具体的に説明されております。
社会保険や労働法といった基礎知識もポイントを説明されている点も嬉しいです。
「相思相愛マネジメント」で、求職者から選ばれる企業になるべく、採用プロセスを見直されてはいかがでしょうか。

【目次】
はじめに

第1章 パーツ・アルバイト活用の基本

第2章 実践!パート・アルバイト「相思相愛」マネジメント
ステップ1 募集 ~お見合いの相手探し~
ステップ2 応募受付 ~「ぜひ会ってみたい」と思わせる~
ステップ3 面接 ~いざ、お見合い!~
ステップ4 入社(雇用契約) ~長いご縁の第一歩~
ステップ5 導入~新人教育 ~成田離婚しないために~
ステップ6 シフト管理 ~家事分担は夫婦でバランスよく~

第3章 「相思相愛」で、パート・アルバイトを育てる
ステップ7 コミュニケーション ~会話と連絡が円満のもと~
ステップ8 教育 ~効果的な家事と自己実現~
ステップ9 評価と賃金 ~頑張っても、認められない~
ステップ10 正社員登用と退職 ~より永いご縁になるとき、別れるとき~

まとめ 「相思相愛」でプラスのスパイラルを回せ!

【今回の一冊】
◆タイトル:『パート・アルバイトの活かし方・育て方』
◆著者:株式会社アイデム 人と仕事研究所所長 平田 未緒
◆出版社:PHPビジネス新書
◆ページ数:257
◆2009.12.4 初版

【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆

【編集後記】
人財マネジメント、特に採用し、定着させる点は今後ますます重要性を増してくるように思います。
今までの慣習にとらわれない人財マネジメントの仕組みづくりが必要ではないでしょうか。

【目指せ200冊レビュー!】
今回で159冊目です。

丹波経営研究会