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【書籍紹介】社員を大切にする経営

年間休日140日残業禁止で創業以来赤字ゼロ『稼ぎたければ、働くな!』

社員を大切にする経営

年間休日140日、残業禁止で創業以来赤字ゼロ

 

【こんな方にオススメ】(5段階)
●会社が儲かり、かつ社員が幸せな会社にしたい ☆☆☆☆☆
●社員のやる気を引き出す実例を学びたい ☆☆☆☆
●差別化の真髄を学びたい ☆☆☆

 

【今回のテーマ】
日本一幸せな働き方

 

【今回の一冊】
◆タイトル:『稼ぎたければ、働くな!』
◆著者:未来工業創業者 山田 昭男
◆出版社:サンマーク出版
◆ページ数:156
◆2012.10

 

【レビュー】

●会社の常識を捨て、その真逆をする

今、日本にはざっと六百万の会社がある。
そのうち、一年間で四千万円以上儲かっている会社は、全体の3%だ。
日本人は勤勉だ。だから、大半の会社とそこで働く社員たちは、なんとか利益を出そうと一生懸命働いている。
だが、97%は働いても稼げない。
いったいどの面下げて、一生懸命働け、といえるのだろう。
世の中の97%と同じ働き方をしていたのでは、いつまでたってもうまくいかない。
ならば、その方法の真逆をとことんやってみるまでだ。
働いて稼げないなら、働くな。
未来工業は年間の休みが140日
年末年始の休日は19日間
ゴールデンウィークも10日連続して休めるし、その上夏季休暇が10日間もある。
残業は一切禁止しているから、終業時間の夕方4時45分を過ぎると、社内にはほとんど人影がなくなる。
それで年間の売上は200億

創業以来40年以上赤字ゼロ
1991年には名古屋証券取引所二部に上場まで果たした。
すべては今持っているちっぽけな「常識」を捨てることから始まる。

 

『日本でいちばん大切にしたい会社2』きっかけに知った未来工業の創業者山田氏の
書籍です。本ブログでは2冊目のご紹介となります。
未来工業の儲かる仕組み、社員満足への取り組みには大いに刺激を受けております。
こんな会社がもっと増えたら幸せな社員が増え、家族も幸せになり、休みが多いということは
観光・レジャー業界も繁栄すると思いました。

(1)失敗した人を何もしなかった人より評価する

日本人は昔からマイナス思考が好きだ。
失敗するとしっかりチェックされて「責任をとれ」と言われるが、反対にいいことをした時は知らんぷりである。
私は減点主義は間違っていると思う。
失敗したということは、果敢に挑戦した証拠だ。
だから大いに褒めてやるべきだ。
「失敗した奴は何もやらん奴よりがんばったんだから、給料を上げてやれよ。」
と私は言う。未来工業で評価をつける順番は、

成功した人 → 失敗した人 → 何もしなかった人

の順番だ。そうでもしないと、誰も挑戦しなくなる。
失敗したら責任をとらされるのでは、怖くて何もできなくなるではないか。

 

(2)売れない赤字製品をあえてつくる

商売が長続きするかどうかは、人をどれだけ喜ばせられるかに比例する。
人に感謝される商品は、たとえ競争相手がたくさん出てきても、絶対に負けない。
「スイッチボックス」という壁の中でスイッチを格納するための部品がある。
売れるサイズはだいたい三種類と相場が決まっている。だから競合するメーカーは三種類か四種類しか作らない。
ところが未来工業はスイッチボックスだけで85種類つくっている。
売れる3種類を除いた82種類当然のことながら売れない商品だ。
理由は喜ばれるからだ。
今の住宅にはいろいろな用途のコンセントがある。
用途に合わせたさまざまなサイズの製品があることで、職人が家を立てる時の便利がよくなる。
ただ、使用する場所は1つの家でせいぜい2、3ヶ所。
売ったところで何百円にもならない。そんな商品のために何百万円もする金型をつくって生産するなど、普通の会社はしない。
だが、あえて赤字覚悟で売れない商品を作り続けることで職人は感謝して、自然とメインの売れ筋商品も未来工業からしか買わないようになる。
たとえよそが半値で出してきたとしても、未来工業から買う。

 

(3)売上が伸びない本当の理由

「世の中どこも景気が悪いからね。」
「経済が悪すぎるから、仕方ない。」
売上が伸びないと、みな外部のせいにして安心している。
誰ひとりとして「自分に能力がないから伸びない」と言う奴はいない。
日本のGDPは約500兆円ある。
日本一売上のあるトヨタ自動車だって22兆円しか売っていない。
残りの需要はまだいくらだってあるではないか。
たとえば生花業界は一兆円の市場規模がある。
業界一位の日比谷花壇の売上は188億円だ。
残りはまだ9812億もある。

そんなに需要があれば、同じ業界で十分食っていけるではないか。
1社で10兆も15兆も売るところはないのだから、自分のところだっていくらでも売れる余地はある。
それが売れないのは自分に能力がないからだ。
その理屈を知っているから、未来工業は海外進出をしない。
国内市場で十分食っていけるのに、わざわざ海外へ行く必要があるだろうか。

そんなに規模を大きくして何になる?
日本人を相手に商売をしていても十分幸せに生きていけるのに、全世界70億人に70倍稼いでどうしようというのだ?
幸せとはただただ規模を大きくすることではない。
身近にいる人間が幸せかどうかのほうがよほど大切なのである。

 

●100%がんばったかどうかで評価する

上に立つ者の仕事は、部下を殴って目先の売上を伸ばすことではない。
部下のやる気を100%引き出して、働きやすい環境を永続的につくっていくことである。
いちばん間違っているのは、採用のシステムそのものだ。
選考したところで、年間4000万円も稼げないような経営をしている会社に

「この人間は仕事ができるか」
「この新人は将来有望な社員に育つか」

など、見抜く力があるわけがない。
未来工業は試用期間を設けるなどという失礼なことはしていない。雇ったら、その日から正社員だ。
立場を認めて、やる気の出る環境さえつくれば、どんな社員でも絶対に育つものだ。
そして万一、選んだ人間が期待した以上の成果を挙げられなかったとしても、その人が100%の力を出していれば、それだけで大成功である。
社員を育てたかったら、結果ではなく、その人間が100%やったかどうかを見なければいけない。
100%がんばった結果なら、70点・60点でも評価する。
その代わり、がんばらずにとった100点は評価しない。
がんばらせなかった上司に責任がある。
100%の力を出したかどうか、評価の基準をそこに置いておけば、社員はみな100%の力を出して
がんばるようになる。その結集こそ、会社全体の業績を底上げしていくのだ。

評価制度がどうあるべきか、常々考えさせられるテーマです。
山田氏の考え方に大いに刺激を受けました。
少なくとも、一般的なありふれた方法ではうまくいかないことは、世の中の会社の大半が儲かっていないことから考えると的を得ているように思えます。
売れない赤字製品をあえて作るというのは、『ストーリーとしての競争戦略』にあるあえて他者のしない不合理なことをするということにつながります。その一点を見れば非合理ですが、全体でみるときちんと収益が得られる仕組みになっているということですね。
失敗を恐れず、挑戦する姿勢を私も大切にしたいと思います。

【目次】
はじめに
1章 働かない人ほどよく考える
2章 働かない人ほど給料は上がる
3章 働かない人ほど会社を育てる
4賞 働かない人ほどリーダーになれる
おわりに

【今回の一冊】
◆タイトル:『稼ぎたければ、働くな!』
◆著者:未来工業創業者 山田 昭男
◆出版社:サンマーク出版
◆ページ数:156
◆2012.10

【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆

【関連書籍のレビュー】
『ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる』(山田 昭男氏)
●仕事におわれ人生を棒に振ってほしくない
(1)お客さんを感動させるには、まず社員から
(2)社員が全員正社員の理由
(3)営業ノルマなし
●日本人は年功序列が一番合う

『日本でいちばん大切にしたい会社2』
●この5人に対して、使命と責任を果たすことを本当の企業経営
(1)社員を管理するルールがほとんどなく、採用は先着順
(2)残業をすると罰金をとられる日本でいちばん休みの多い会社(未来工業)
(3)日本でいちばん長くて楽しい朝礼
●従業員満足が顧客感動につながり、持続的な発展を実現

 

【編集後記】
100%がんばったかどうか、これは子育てにも言える大事な視点のように感じました。
また、経営・仕事はうまくいかない場合は、自分の能力が足りないと言い聞かせ、これからも自己革新し続けていきたいと思います。

【目指せ200冊レビュー!】
今回で182冊目です。

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