事例で学ぶ小さな会社のブランドのつくりかた

【こんな方にオススメ】(5段階)
●自社ブランドをつくりたい製造業 ☆☆☆☆☆
●自社製品・商品・サービスのブランド力を強化したい ☆☆☆☆

【今回のテーマ】
小さな会社のブランディング

【今回の一冊】
◆タイトル:『ブランドのはじめかた』~5つのケースでわかった経営とデザインの幸せな関係
◆著者:中川淳(中川政七商店)西澤明洋(エイトブランディングデザイン)
◆出版社:日経BPマーケティング
◆ページ数:207
◆2010.11.1

 

【レビュー】

●ブランディングとは?

「ブランディングとは、ある商品、サービスもしくは企業の全体としてのイメージに、ある一定の方向性をつくり出すことで、他社と差別化すること」

これが我々の考えるブランディングの定義です。

ブランディングにおいてもとめられているのは、

「お客様の中にあるイメージをつくり出し、それを商品やサービスに結びつける」

ということです。

お客様がインプットする情報には限りがあります。

「情報渋滞」のお客様の頭の中に切り込んでいくには、シンプルで一貫性がある、研ぎすまされたメッセージもつ必要があります。

今最も重要なのは、もちろん十分な水準の品質をもった上で、ですが”他とはどう違うのか”という部分をお客様にきちんと伝えることつまり差別化することにあるのです。

本書は奈良の老舗、中川政七商店の社長で、業界特化型のブランディングのコンサルティングをされている中川社長と、ブランディングデザイナーの西澤氏により書かれています。
前半は対話形式で事例が紹介されており、後半はブランドのつくりかた、そだてかたが書かれております。

<5つの事例>
COEDO
nana’s green tea
HASAMI
粋更kisara
中川政七商店

事例から学びたい方は前半を、考え方を学びたい方は後半を中心に読まれると良いと思います。

 

(1)ブランドに必要な3つの要素

1.商品

”ウリがあるか”は非常に重要。
小ロットで開発できること、開発スピードが早いこと、一点突破できる技術を持っていることなど、中小企業の大企業にはないアドバンテージを活かす

2.チーム

スペシャルな技術とをもった外部スタッフを組み込む
自分たちが必要とする分だけ関わりをもてる相手を見つけ、ブランド立ち上げのチームに組み込み、一生につくっていくのが一番の近道。

3.熱い思い

熱い思いをもった責任者がワンストップで指揮をとる体制があれば、ブランドは必ず生まれる。

 

(2)ブランディングデザインのプロセス

<フォーカスRPCD>

0.フォーカス

ブランディングの差別化手法の考え方・姿勢

1.R:リサーチ

・市場と自社の現状把握
・お客様が発する声より半歩先
お客様視点、外部視点で市場を見る
・今影響を与えているトレンド

2.P:プラン

・ブランド開発の方向性を決定
やりたいことと、できることを整理した上で差別化のポイントを見極める
他社がやっていないことを見極める

3.C:コンセプト

・可能性をあえて削り、たった一点に集中させる
・たったひとつの文にまで集約する
・その上で、かみくだいた形で300~500文字のブランドステイトメントを用意する

4.D:デザイン

・ブランドに関わるすべてのアイテムを見える形に変換する

 

(3)デザインを評価する3つのポイント

1.コンセプトが差別化ポイントとして表現されているか
2.すべてのブランドアイテムが一貫性をもってデザインされているか
3.ディテールまで完成されているか

 

●インナーブランディング

・ブランドコンセプト会社のビジョンを行動指針・業務レベルの行動に噛み砕いている
・経営者、ブランドマネージャーがツールの配布に加えて、語りかけていく
・毎月月末に全スタッフにメーリングリストで流す「毎月のテーマ」
・政七まつり
・3ヶ月に1度全スタッフが自ら目標を設定し、前の目標を振り返る「目標宣言」
・人事考課で、会社の求める役割・行動指針を確認お金と時間を割いて、社内で継続的にブランドコンセプトの浸透に注力する取り組みインナーブランディングと呼びます。
関わるすべての人がブランドを体現し続けるには継続的で地道なインナーブランディングが唯一にして最高の方策なのです。

”ブランドの完成はブランドのはじまり”
なるほどですね。インナーブランディングの継続的な取り組みこそがブランドを体現し続けるコアだということです。
ブランドには本書にあるように「つくる」と「そだてる」という2つが大切なんですね。
自社ブランドをつくり、育てていきたい方へのヒントが事例を含めて紹介されています。

 

【目次】
はじめに
第1章 5つのケースに学ぶ
経営者、ブランドマネジャーインタビュー
第2章 ブランドのつくりかた
第3章 ブランドのそだてかた
あとがき

【今回の一冊】
◆タイトル:『ブランドのはじめかた』
~5つのケースでわかった経営とデザインの幸せな関係
◆著者:中川淳(中川政七商店)
西澤明洋(エイトブランディングデザイン)
◆出版社:日経BPマーケティング
◆ページ数:207
◆2010.11.1

【おすすめ度】(5段階)
●総合 ☆☆☆
●読みやすさ ☆☆☆☆

【関連書籍のレビュー】
小さなお店のブランディング事例
『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』

●一品ビジネスの強み
(1)ケンズカフェ東京にとってのブランドとは?
(2)ブランド力の伝え方
(3)インターネット活用
●ダントツのスペシャリテ(看板商品)を持つ

【編集後記】
ホームページも自社のブランドや姿勢を伝えるツールの一つで、よく相談を受けるのですが、ホームページも一度できたら終わりではなく、「育てる」、継続的に中身を更新していくことが非常に重要です。
ブランドづくりにも通じるものがあると感じました。

【目指せ200冊レビュー!】
今回で177冊目です。

丹波経営研究会